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「ORIGINAL」
Bird―in―the―cage

Bird―in―the―cage 第3章(4)

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寒くなると冬眠がしたくなります。
なんで、人間には冬眠の習性がないのか、真剣に悩みたくなるのは、私だけでしょうか…。



(4)

 

 一見、和やかに見えてその実、恐ろしく不可思議な食事が終わろうとしていた。

「今度、うちにいらっしゃいませんか?」

 ゆうが改まった口調で、ユウに言った。丁寧な言葉使いが、この少女の育ちの良さを示しているように思えて、ユウは自分とは違うのだと思った。自分でも必要な場合、敬語を使うことはあるが、ぎこちないことは自分でよくわかっている。

「あら、珍しい。堅物のお父様が、よく許してくれたわね」

「彼の話を聞いて、お父様が会いたいっておっしゃったの。私として嬉しいんだけどね…」

「君の父上のことだ、何か考えがあるんだろう」

 ユウを話題にして、ユウを放置したまま会話が進んでいく。

「たぶん、ユウが異文明を研究しているからでしょう?」

 ゆうはアイに頷くと、隣に座るユウに顔を向けた。思いもかけないアイの言葉に、彼女に咎めるように強い視線を送るが、アイは口元に笑みを浮かべたままだった。

「そういえば、君の家の敷地には遺跡らしきものがあると言ってた気がするけど…」

「そうなの。どんなのか全然わかんないんだけど、お父様は色々調べてるみたいなの」

 ゆうはユウから目を離さず、会話を続けていく。

「まあ、あたしがここに居られるのも、旅の途中で似たような物を見たっていう話からだしね。あんまり、役には立たなかったんだけど…」

 そう言いながら、アイはユウにしかわからないような視線を送る。その視線には、話を合わせろという暗黙の脅迫を感じる。

「あたしなんかより、この男の方がその手の話には詳しいから。いいんじゃない?」

 ユウに問いかけながら、アイは目を細めた。それはさながら、獲物を狙う肉食獣のそれだった。

「あんただって、興味あるんじゃない?もしかして、新しい発見があるかもよ?」

 ユウはアイに頷くしか出来なかった。

 それを見て、ゆうが嬉しそうにユウの手を握り締めた。

「明日、迎えに来ます!私が案内しますね!」

 ユウにはその手を振りほどく術はなく、ただ曖昧に頷くしかなかった。

 

「一体、どうするつもりだ?」

 ゆうが名残惜しそうに帰った後、ユウはようやくアイに問いかけた。問い詰めるだけの気力は無いため、投げやりな口調しか出来なかった。

 そんなユウの様子を平然と無視して、アイはてぃーと隣り合わせに座り、顔を見合わせて話し合っている。

「案外、早かったね。あの狸親父、相当焦ってるみたいだ…」

「たぶん、遺跡がゆうに反応したものの、それからがわからないって処ね。そこに、異文明の研究者が来た――。それも、ゆうが助けたって持って来いの話だもの」

「恩着せがましく、協力させようって言うのが、見え見えだよね」

「まぁ、こっちの思ったとおりに動いてくれてる訳なんだけど…」

 そこで言葉を区切ると、アイが始めてユウの方を向いた。不機嫌なユウの表情を見て、小首を傾げる。原因が自分にあるとわかっていて、そう出来るのは彼女くらいだろう。

「ゆうの父親っていうのが、嫌な奴なんだ。あの子の事なんて、道具の一つくらいにしか考えてない。でもね、次の世界に行くにはそいつの所に行くしかないの」

 ゆっくりと目を伏せたアイの表情は、ユウには何の感情も浮かんでいないように見えた。最も表情が見えたところで、その心の内が表情通りとは言えないのだが――。

 アイはてぃーの会話を聞かせることで、ユウに情報を与えていた。それを整理していく。始めにアイは、彼女の能力での移動は不可能だと言った。別の手段が必要だと、それが遺跡ということなのだろう。そして、その持ち主がゆうの父親であり、遺跡を何らかの形で利用したがっているらしい。それを逆手に取って、アイは移動に使うつもりなのだろう。だからこそ、ゆうの行き過ぎとも言える行動を、黙認していたのだ。彼女の好意を利用するのは気が引けるが、手段はそれしか無いようだ。

 それにしても、ゆうはどうやら裕福な家に育ちながら、あまり幸せとは言えないようだ。家族に恵まれないのは、どこの世界でも同じなのだろうか。

「俺は、どうすればいいんだ?」

 ユウの問いかけに、二人は異口同音に答えた。

「「何も」」

 一瞬何を言われたのかわからず、反射的に聞き返したが、返ってきたのは同じ答えだった。

「出来ない事を期待しようとは、思わないわ。あなたは、私を連れて行ってくれればいいの」

「後は、アイが何とかするでしょうから。くれぐれも、アイの足を引っ張らないようにするのが、役目でしょうね」

 口調は丁寧だが、見も蓋も無い辛らつな内容だった。けれど、それを否定することは、ユウには出来なかった。これまででも、結局は彼女に総てを任せて来てしまっている。

 始まりがユウをアイが誘ってのことであり、彼女の目的に協力をしている立場を考えれば、当然かもしれない。しかしユウ自身、アイが総てを背負うのは心苦しい。だからこそ、彼女の不親切な振る舞いや言葉を受け止めていた。

「わかった…」

 アイはその言葉に満足そうに微笑み、てぃーはそのアイの笑顔を満足そうに見つめていた。

 

 翌朝、てぃーの家に来たのは、アイ一人だった。ゆうが来ると思っていたのはてぃーも同じらしく一瞬、眉をひそめるのが見えた。

 アイはその様子を当然、予測していたらしい。勝手を知る者よろしく、部屋に入ってお茶の用意を始めた。

「とりあえず、飲めば?落ち着くわよ」

 流石というべきか、てぃーはアイの隣に座るとカップを手に取り、その香りを楽しみ出した。

「いい香りだね。朝からアイの淹れてくれるお茶が飲めるなんて、幸せだな」

「やだ、てぃーったら。照れるじゃない…」

「ほんとの事だよ。毎朝、アイにお茶を淹れてもらいたいくらいさ」

 ユウは二人を視野の端に入れながら、カップに手を伸ばした。口に含むと、爽やかな香りが鼻に抜け、柔らかな甘味を感じた。文句無しに美味しいと言える、茶の味だった。

 昨日も同じ茶葉から淹れたものを飲んだはずだが、全く風味が異なっている。淹れる人間が違えば、こうも違うものなのかと驚いた。

 ただ昨日お茶を淹れたのはゆうだった事を思い出して、アイの腕が良いのではなく、ゆうの方に問題があったのかも知れないと思い直す。

「お茶を淹れるのには、自信があるのよ。特に朝の一杯は一日の始まりだから、美味しく淹れないとね」

「ゆうも下手じゃないんだけど、これには適わないよ」

「そうそう、あの子だけど、ドレスが決まらないからって迎えに来ないのよ。一緒に行こうって言い出したのは、ユウなのにね」

 テーブルに頬杖をついて、アイが溜息まじりに茶を口に運ぶ。

「相変わらず、我がままだな…。朝から大変だったんだね、可哀想に…」

 アイの頭をよしよしとてぃーが撫でるのを横目で見ながら、ユウはカップを空にした。

ゆうが家で待っていることがわかり、アイが連れて行ってくれるということらしい。それさえわかれば、特に問題は無い。

「――悪いんだが、もう一杯淹れてくれ」

 ようやくアイにカップを差し出したのは、かなりの時間が過ぎてからだった。

「あら、もうこんな時間じゃない。なにやってるのよ、ユウ。早くして」

 ささやかなユウの希望はアイの都合に紛れて、消えうせた。

その向かいで、何も言わずともアイにおかわりを淹れてもらった、てぃーがのんびりとお茶を口に運んでいた。

「気をつけて行ってくるんだよ」

 てぃーは気遣わしげにそう言ったが、それは明らかにアイ一人に向けられていた。ユウには、最早それをどうこう言える気力は残されてはいなかった。

 アイと一緒に歩き始めたユウは、内心ほっとしていた。

押し付けてくるゆうの好意も対応に困るが、目の前で二人の世界を繰り広げられるのも居たたまれない。自分が邪魔者のような空気のような扱いは、どうして良いのかわからなくなる。

少し前を真直ぐ前を向いて歩くアイの横顔を見ながら、ユウは考えた。てぃーと居るアイはごく普通の少女に見えた。少し行き過ぎてはいるが、想い合っている恋人同士と思えた。しかし今のアイは、そんな甘さなど微塵も感じさせない硬質な貌をしている。ユウにとってはこちらの彼女の方が馴染み深いのだが、さっきの彼女の様子は全くの自然体に見えた。

てぃーとの関係について、アイ自身から説明されてはいない。聞いたとしても、今まで説明が無かったという事は、話す気がないということだろう。

「あそこが、ゆうの家よ」

 アイが指差した先には、のどかな風景に不似合いな豪華な館があった。

 

 

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