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「ORIGINAL」
Bird―in―the―cage

Bird―in―the―cage 第3章(2)

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私には珍しく、積極的な女の子が出てきます。
でもこの子って、ユウの分身なんですよね…。
こいつってそんな奴だったっけ?と思いましたが、考えてみればこやつって、両想いになった途端、キスかましてる奴だった―――^^;。



(2)

 

「でも、無事でよかったわ」

 アイがふと真顔で言った。そして俯くように躯をそらすと、ごめんなさいと謝る。

 ユウはそんな愁傷なアイの姿に驚き、訳がわからず尋ねた。

「どうしたんだよ、いきなり…」

 アイはそれには答えず、ユウの額をそっと指差した。その指先が微かに震えているように見えたのは、目の錯覚かもしれない…。

 つられるように自分の額に手をあてながら、思い出す。以前、鉱山で額を切った仲間のことを。傷はさほどではなかったが、出血が多く噴出すほどだった。アイの態度からして、ユウの怪我もそうだったに違いないだろう。

「心配かけたみたいだな、悪い…」

 おびただしい血を流しているユウを、アイはどうしたのか。ここは移動したばかりの異世界で、何がどうなっているのか不明な中、彼女は最善の方法をとったのだろう。ユウにはきちんと治療がなされ、住人とも上手くやっているようだ。

「なにか、聞きたいことはあるかしら?」

 何を聞けばいいのか、すぐには浮かばないが、とりあえず印象的な少女のことが口をついた。

「あの子は、一体なんなんだ?」

「それは聞かなくても、あなたがよく知ってるんじゃないかしら?」

 アイは事も無げに言うと、立ち上がった。含みのある物言いがあまり気にならないのは、彼女に慣れてきたということだろう。

「ここでは、私の力はかなり弱いわ。移動するのは他の手段を考えないと駄目ね。生活環境、言葉、習慣には特に問題は無いわ。治癒術はいってみれば、個人の生命力を一時的に活性化させるみたいね」

 ユウはくすりと笑いをもらすと、ああとだけ返した。ユウが知りたいだろう情報を、きちんと返してくれるあたり、彼女の優しさなのかも知れない。

「ああそうだ。あたしは少し前からここに居るってことになってるから。あなたとは、昔の知り合いってことにしておいて」

「どういうことだ?」

「いろいろ、事情があるのよ。とにかく、あたしとあなたはただの顔見知りよ。よろしくね」

 アイがそう言うのなら、ユウはそれに従うしかない。

 

「もう、いいですか?」

 軽いノックの後、ドアが開いた。てぃーが顔をのぞかせ、そのあとすぐにさっきの少女が、姿を見せる。てぃーに何か注意されたようでしかめ面をしていたが、それでもユウの顔を見ると、笑顔で手を振ってくる。

「ユウ、ごめんね」

 アイは身を屈めそっとユウに耳打ちをすると、にこやかに部屋を出て行こうとする。

ユウはアイの謝罪の意味がわからず、その姿を見送るしかなかった。

「あとは二人で、どうぞ…」

 アイがユウにそう言うと、少女だけを部屋に押し込むとティーを連れて出て行った。

「…あいつ…」

 ユウが満面の笑顔で傍らに座るのを見ながら、今更ながらアイの言葉の意味を知る。アイはユウを生贄にして、安全圏に逃れたのだ。この少女が起こす暴風雨から、自分とティーを避難させたのだ。

 それは賢明な判断かもしれない。ユウが当事者でなければ、彼もアイと同じ行動をとっただろうとは思う。けれど、当事者としてはアイを薄情者と言いたくはなる。

「聞きたいんだけど、あなたとアイってどういう関係なの?」

 ユウの顔に彼女は顔をぐっと近づけると、赤い瞳が単純に綺麗だと思った。けれど、この質問の答えをユウは持ってはいない。アイと自分の関係は、友人とも協力者とも言えるが、どちらとも当てはまらないような気もする。

「俺は、世界を廻る旅をしているんだ。アイとは前に違う場所で知り合った」

 行動理由のみを話すが、一応の回答にはなった。けれど、彼女は満足しなかったらしい。顔を少し離すと睨むようにして、人差し指をユウに突きつけた。

「そうじゃなくって、恋人なのかって聞いてるのよ!」

 反射的に首を横に振ると、彼女は表情を緩めて、重ねて尋ねてきた。

「ほんとに?これからなる予定もないの?」

「ああ、まったく無い」

 ユウにはティーというれっきとした恋人がいる。世界が違ってしまっても、戻った後はきちんとした形をとるつもりもある。

「よかったぁ。アイって綺麗じゃない、あの子じゃ勝ち目ないかなって、思ってたんだよね」

「俺はユウ。君は?」

「あら、偶然ね。私もゆうというのよ。なんかこれって、運命的じゃない」

 予想通りの答えの後、ゆうは嬉しそうに手を叩いた。運命でもなんでもなく、違う世界の同一人物なのだから当たり前のことなのだが、それをユウだけが知る事情だ。

「俺を助けてくれて、ありがとう」

 助けてくれたことは事実なのだから、ユウが礼を言うと、ゆうは頬を赤くした。

「えっと、もういいかな?彼の診察をしたいんだけど――」

 てぃーがおずおずとドアを開けたとき、ユウはすかさず入ってくれと叫んだ。

 

「傷はふさがっているし、問題ないみたいです」

 てぃーはユウの額を念入りに調べると、首を回すように指示し、痛みや違和感が無いかどうか訊いた。ユウが首を振ると、笑顔でそう告げた。

「てぃー、この人の治療代は、あたしが払うわ。昔の知り合いのよしみよ、ありがたく思いなさいよね」

 アイは溜息をつくと、てぃーに何かを手渡した。よく見えなかったが治療代だろう。アイは生活に支障は無いと言っていたから、貨幣も使えるのだろうと思った。それでなければ、アイもユウと同じときにここに来たはずなのだ。この世界の貨幣を手に入れるには、時間がなさすぎる。

「ちょっと、アイ。あんた、そんな言い方ってないんじゃない!旅の途中で、怪我したっていう人に対して、優しさってもんはないの!?」

 アイに対し、ゆうは気分を害したようで文句を言ったが、てぃーがそれを止めた。

「なら、ゆうが払うっていうのか。お前にはそんな金ないだろう。お前に自由になる金が無いのは、アイだって知ってるから、そう言ってくれてるんだぞ」

 ゆうは痛いところをつかれたらしく、悔しそうに唇を噛んだ。どうやらこのゆうはユウとは違い、育ちが良いようだ。よく見れば服も手が込んでいそうだし、アクセサリーも多く身につけている。

「いいのよ、てぃー。ゆうはこのユウが気に入ったから、知り合いのあたしがうっとおしいみたいね」

「それでも…」

 てぃーがなおも言い募ろうとするのを、アイは軽く笑って止めると、ゆうに向かった。

「じゃあ、優しいゆうは、この男を泊めてあげられるの?あの厳しいお父様が、許可するとは思えないけど」

「確かに、彼を見つけたのはゆうだ。だけどその後のことは、僕やアイに任せるんだ」

「そろそろ、家に戻った方がいいんじゃないの?また、黙って抜け出して来たんでしょ…」

 嫌味を漂わせながら嗜めるようなアイと、穏やかに言い含めるようなてぃーの言葉に、ゆうは不承不承ながら頷いた。

 ユウの予想通り、ゆうはお嬢様のようだ。この世界では性別だけでなく、環境も大きく異なるようだ。

 ゆうが出て行った後には、アイだけが残った。椅子に腰掛けたアイの肩に手を置いたてぃーは、溜息混じりにアイにもたれかかった。

「あんまり、疲れさせないでよ…」

 アイは肩に置かれたてぃーの手に、自分の手を重ねゆっくりと握った。

「ごめんね、てぃー。ゆうがあそこまで暴走するとは、予測出来なくって――」

 アイの声は優しく、甘えを含んでいるかのように聞こえた。ユウは自分の耳を疑いながら、二人の様子を観察した。

 ゆうが帰ってから、てぃーはごく自然にアイに寄り添った。アイもまたてぃーが触れることを自然に許している。その姿はごく自然に見えた。まるで、想いを通じ合った恋人同士のように――。

 

 

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