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「ORIGINAL」
Bird―in―the―cage

Bird―in―the―cage 第3章(1)

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ハイテンションなキャラは書いていて楽しいのですが、話が崩れることがあるので、扱いが難しいかなとも思います。
肉食系女子には、草食系男子は可哀想かもしれない…と思ってしまったのは内緒です。



第3章 日食の街

 

(1)

 

目を開けたはずなのに闇の中だった。まだ意識がはっきりしないのかと考え、瞬きをしても、目に映る景色は変わらなかった。念の為、両手を握ったり開いたりしてみても、動きに違和感は無い。

次に自分がいる状況を確かめてみる。シーツの感触があることから、ベッドのようなものに寝かされているようだ。そのうちに目が闇に慣れてきて、室内にいることがわかった。

ゆっくりと上体を起こすと、濡れた布が落ちてきた。どうやら、額におかれていたようだ。誰かが世話をしてくれていたのは、間違いない。濡れた布を拾い上げて、辺りを見渡すが、ここにいるのはユウ一人のようだった。

「…アイ…?」

 出した声が思ったよりも、頼りなく聞こえてユウは苦笑いを浮かべた。いつの間にか、アイが傍にいることを前提に感じているようだ。

 

「あ、気がついたんだ」

 闇が一瞬のうちに、柔らかい光に変わる。姿を見せたのは、褐色の肌をしたユウと年は変わらないような少年だった。

 少年はゆっくりと近づいてくると、ゆっくりと話し始めた。

「ここは、僕の家だ。言葉はわかる?」

 ユウは頷きながら、少年が傍らの椅子に腰掛けるのを見ながら口を開いた。

「君が助けてくれたのか?」

 ユウと言葉が通じるとわかると、少年は笑顔を見せた。人の良さそうな柔らかな笑顔に、ユウは誰かの面影を見た気がした。けれど、それが誰かを思い出す前に、少年が名乗った。

「僕はてぃー。君の名前を教えてくれるかな?」

 ユウは一瞬、言葉を失っててぃーという少年を、まじまじと見つめた。その視線に落ち着かない表情を浮かべながら、彼はユウが話し出すのを待っている。

 初めに、てぃーが言葉の心配をしたのは無理もない。肌の色からして、全く二人は異なっていた。てぃーは褐色の肌に、淡い蒼色の髪を持ち、瞳の色は鮮やかな緋色だった。そのどれもが、ユウの見た事がない色彩だった。おそらくそれは、てぃーからしても同じなのだろう。

 けれど、色という第一印象を抜きにしてみれば、貌の造作はユウのよく知る少女に酷似していた。性別の違いはあるが、面影は残っている。

 けれど、それはこのてぃーが優しげな風貌のせいであって、ユウの知る少女が決して男っぽいわけではない。

「――俺はユウ。女の子は一緒にいなかったか?俺の連れなんだ」

 それでも目の前の少年に違和感を感じながら、ユウは気になっているアイの事を尋ねた。自分と一緒にいたはずの少女の行方が、気がかりだった。アイがそうそう危険にさらされるとは思わないが、意識が無いところを襲われればその限りではない。

「いいえ」

 首を振りながら、てぃーは申し訳無さそうに眉を下げた。

「あなたを見つけたのも、僕ではないんです。あなたが怪我をしていたので、僕に連絡があったので――」

 怪我と聞いて、ユウは疑問を浮かべた。怪我などどこにも無かったはずだ。目が覚めてから、躯の不調はないかは自分で確かめた。痛みはおろか、手当てをされたようすもなかったはずだ。一人暮らしの長いユウにとっては、自分の躯の状態を把握することは習慣になっている。自分の健康が、仕事の効率やひいては身の安全に直結するからだ。

 ユウの怪訝なようすを見て、てぃーが大丈夫ですと声をかける。

「額を切っていたから、僕が治癒術をかけました。上手くいくか少し不安でしたが、問題なく治りましたよ」

 片手を額にあててみるが、切ったような傷に触れることはなかった。怪我をしたとは思えない手触りに、ユウはてぃーの言葉を思い出す。

「ちゆじゅつ?」

 聞きなれない言葉を繰り返すと、てぃーは頷いた。

「ええ。ちょっとした怪我や病気なら、治せる力のことです」

「医者とは違うのか?」

 ユウが聞くとてぃーは少し考えるように、首を傾げた。

「――医者の卵みたいなものですかね。…重症な患者は、一応は病院で手当を受けますから…」

 後半のはっきりしない言い方で、病院に行くのは限られた人間だと気づいたユウは、頷いてその話を終わらせた。どこの世界でも、特権階級が権利を独占し、一般市民には恩恵が行き届かないのは常のようだ。

 それよりもアイのことだ。一緒に見つかっていないのであれば、ユウには探す手がかりは無い。その前に、彼女がこの世界にいるかどうかも、怪しまなくてはならない。溜息がもれそうになるのを、堪える。

 

「あなたを見つけた人を呼んできましょうか?詳しい話を聞けば――」

 ユウのようすから、暗いものを感じ取ったてぃーが明るい声を出した。けれどそれをはるかに上回る、底抜けに明るい声が響いた。

「あら、目が覚めたんだ。目を閉じててもカッコよかったけど、起きてると一段と、綺麗な人なのね」

 語尾にハートマークがついているように聞こえたのは、気のせいではないだろう。

「わたしが、あなたを裏庭で見つけたんだよ。それで、このてぃーを呼んであげたんだから、感謝してよね」

 入ってきたのは少女だった。てぃーと同じ褐色の肌に、緋色の瞳、長い髪は淡い緑色をしていて、後ろで結わえている。

 少女はつかつかとユウに近づくと、てぃーの躯を突き飛ばすと、空いた椅子の腰を降ろした。そして、ベッドに身を乗り出すと、ユウの貌を凝視する。

 それはユウが思わず身を引くほど、勢いのある動きだった。

 ユウはベッドから落ちるギリギリまで身を寄せながら、視線でてぃーに助けを求めた。けれどティーは突き飛ばされ、尻餅をついたまま、ゆっくりと首を横に振るだけだった。それを見て、この二人の力関係を理解したユウは、どう声をかけようかと考えたが、何も浮かばない。

 その間にも少女は手を伸ばして、ユウの髪を触り出している。その手をどうするかも、答えが出ないまま、ユウは視線を宙に向けた。とてもじゃないが、彼女の興味深々といった眼差しに耐えるほど、ユウは神経が太くはない。

 

「ちょっと、あたしを放って勝手にいかないでよ…」

 新たな訪問者の声がした。呆れたような、不機嫌さ漂う声に、ユウは思わず助けを求めた。

「アイ、この子を止めてくれ…」

 聞き間違いの無いアイの声に、ユウは心からほっとした。彼女を探すことはしなくて済むという思いと、アイならこの少女を何とか出来るという安心感からだった。

 けれど返ってきたのは、一言。

「無理」

「おい、アイ!」

 思わず叫び返すと、髪の毛がぐっと引っ張られた。痛みに視線を戻すと、ユウの目の前に、少女の緋色の瞳が迫っていた。

「――あの…」

 息がかかるほどの至近距離で、緋色の目に映る引きつった自分を見つめるしかできない。

「ねぇ、アイとどういう関係なのかしら。とっても、興味あるんだけど?」

 表情は笑っているが、その目は真逆の剣呑さで、少女が一段とユウに近づいてくる。迂闊に動けば肌が触れ合うほど、近い。そんな状況の中で、ユウはこの少女が何者なのか理解した。ただ、理解するのと納得するのは違うようで、内心は複雑に乱れる。

気づいた事実にどうすることも出来ず、視線だけは外すユウを救い出したのは、立ち上がったてぃーだった。

「勝手に入ってきて、騒ぐなよ」

 後ろから少女の襟を掴むと、ぐいっと引き離す。小柄な体躯には似つかない強さで、そのまま部屋の外に彼女を追いやった。

 猫の子を扱うように、ぽいっと放り出して自分も出て行く。

「僕らは外します。よかったですね、彼女が見つかって――」

 てぃーと入れ替わりに入ってきたのは、アイだった。さっきまで少女が座っていた椅子に腰掛けると、見慣れた口元だけの笑みを浮かべる。ユウは今まで堪えていた溜息を、ここぞとばかりに吐き出した。

 アイはそんなユウのようすを面白そうに眺めてはいるが、言葉を発しない。

 沈黙に耐え切れなくなったのは、ユウの方だった。正確には、アイの含みある笑顔に耐え切れなくなったのだが。

「言いたいことがあるなら、はっきり言えよ」

「よかったわね、可愛い女の子に好かれて。まあ、好みは人それぞれだから…」

 明らかに語尾を濁すアイが言いたいことがわかって、ユウはもう一度、大きく溜息をついた。

「でも意外ね。あなたって、女顔だったのね…」

 感心したようなアイの声は、ある意味ではユウ自身の感想でもあった。ユウにあからさまな好意を示した少女は、色彩こそ違うが、ユウそっくりだったのだ。おそらく、この世界のユウであることは、間違いないだろう。

 

 

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