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「ORIGINAL」
Bird―in―the―cage

Bird―in―the―cage 第2章(5)

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前回から1ヶ月ほど空いてしまいました。その間、他のを書いてたりするんですけどね。
書くときは一気に書けるんですが、滞ると書くまでに時間がかかるタイプなので――。
僻地のブログなので、気は楽なんですけどね。


(5)

 

 次の日、ユウは悲鳴で目覚めることになった。

 野太い悲鳴は屋敷中に響き渡り、ユウとアイも否応なくたたき起こされた。居間へ続くドアを開けるとアイが口元にだけ笑みを浮かべて、ユウを見ると無言で外に通じるドアを指差した。

 開け放たれたそこには――。ドアに張り付いた男がいた。それも二人もだ。ユウが近づくと、男たちはドアから離れようとしているらしくもがいていた。しかし、ドアに触れている部分が全く外れないらしくバタつくだけだ。

「朝から騒がしいけど、これ、どうしたの?」

 ケイものんきに姿を見せて、ユウに聞いてくるが、ユウにもわかるはずが無い。無言のユウを見て、ケイはアイに声をかける。

「あのさ、アイちゃん、これどうしたのかな?」

 おずおずと姿を見せたアイは、あっさりと、

「部屋に結界を張ったんです。一応、用心のために――」

 説明すると、印を結んだ。その手をドアにあてると、今までが嘘のように二人の体がドアから離れた。

「ええっと、いろいろ聞きたいことがあるんだけど、とりあえずは、こいつら連れて行くね」

 ケイは頭をかきながら、男たちに向かって笑った。

「お前たちにも、話をきかせてもらわないとね」

 その表情は見えなかったが、それを見た男たちの顔色が蒼ざめるのは、はっきりと見て取れた。

 

「ごめんね。朝から騒がしくって」

 ケイがユウ達に姿を見せたのは、それから程なくしてからだった。

 居間の椅子に座ると、頭を下げた。

「一体、なんだったんですか?」

 ユウもケイの向かいに座り、その横にアイも腰掛けた。

「まあね、よくある話なんだけど――」

 ケイは珍しく言葉を濁すと、ユウを手招きした。ユウがテーブル越しに躯を近づけると、耳元に囁く。

「アイちゃんを狙ったんだ」

「はあ?」

 ユウは意味がわからず、首をかしげると、ケイが言いにくそうにもう一度、口を開こうとした。けれど、その前に答える声がした。

「要するに、夜這いをかけようとしたんですよね」

「なんだって!?」

 ユウはケイの顔を見るが、ケイがいつもの薄ら笑いを浮かべるのを見て、それが正解なのだと悟った。

「まあ、出来心なんだけどさ。うちの村って、若い女の子が少ないんだよ。だから、どうしてもね…」

 さすがのケイもアイの目の前では、言いにくいらしく曖昧な表現でごまかそうとした。

「よくあることですもの。気にしませんわ」

 事も無げに言うアイに驚いたのは、ユウとケイの方だった。

「よくあるって、お前な…」

 思わず声を荒げるユウに、アイは微笑んだ。

「大丈夫よ、ユウ。部屋に結界を張っていたから。心配しないで」

 確かに、男たちは部屋に入ることが出来なかったのだから、アイの言葉は正しい。そして、ユウは夕べのアイの言葉を思い出した。アイはユウに、危ないから部屋から出るなと言った。それは、このことだったのだ。

 ユウがアイに頷くのを見て、ケイがアイに向き直った。薄笑いをやめた真面目な表情は、アイを見据えるように見えた。

「君は、何者なのかな?」

 アイはケイの鋭い眼差しを正面から受け止め、そのまま首をかしげた。疑問を示す動作に、ケイが言葉を続ける。

「結界なんて、普通の人間が出来るものじゃないよね。そんなことが出来る君は、何者なのかと聞いてるんだよ」

 ケイの口調がいつもの、のん気なものではなく、問い詰めるものへと変わりかけていた。表情も村の責任者としての厳しいものになっている。アイを見つめるその目は、どんな心の内までも見透かそうとしているように、苛烈に思えた。

 ユウは何も言うことができず、そんな二人を見守るしか無い。

 部屋が沈黙に満たされ、自分の息遣いすら響くような時間が流れる。あまりのいたたまれなさに、ユウは立ち上がろうかと腰を浮かせかけた。

「私は、アイという娘です」

 ケイの眼差しが一層きつくなるのを知ってか知らずか、アイは優雅に微笑んだ。

「ただ、私にも巫女姫様と同じような力があるだけです。それ以外の何者でもありませんわ」

 ユウは腰を浮かせかけた姿勢のまま、固唾を飲んだ。ケイを見ると、下を向いていて顔が見えない。アイの発言をどう捉えるのか、まったく読めない。最悪の事態を考え、ユウは自分たちの荷物をまとめている部屋の隅に、視線を走らせた。

 やがて、ケイは顔をあげた。

「そっか、そういうことか…。君にも、力があるとはね。巫女様が懐くのも、当然だ」

 一人で納得しながら、アイを見ていつもの読めない笑いを浮かべる。

「いやあ、悪かったね。こっちのごたごたに巻き込んじゃって――」

 ケイは軽くそう言いながら、立ち上がった。ユウはあまりにあっさりとした様子に、声をかけようとしたが、アイが足を蹴ってそれを止める。

「あの、もうよろしんでしょうか?」

 ユウの代わりにアイが言うと、ケイは部屋を後にしながら、振り向きもせずに言った。

「うん。もうこんなことはないから、安心してよ」

 ユウとアイが見守る中、ケイは後ろ向きのまま片手を振って部屋を出て行った。

 ケイの姿が見えなくなると、ユウは脱力して椅子に深く腰をかけた。アイはそれを見て、意味ありげに微笑みその後、楽しそうに笑い声をあげた。

「さあ、どうするのかしら、力の無い巫女と力のある訪問者。今の事で、私に力があることは皆が知ったわね。あの食わせ者がどうでるか、楽しみだわ。そう思わない?」

「お前の性格が悪いのは知ってるけど、あのおっさんも大概だな」

 ユウが溜息まじりにもらすと、アイはテーブルに頬杖をつきながら、横目でユウの顔を見た。

「疲れるのもいいけど、これからが本番よ。もうここでは、私たち以外、誰も信用できないから」

 ユウがアイの顔に目を向けると、いつもと変わらないアイがいた。

「もともと、ここじゃ、そんなものだろ」

「そうじゃないわ。今まではただの警戒。これからは、はっきり邪魔者と認識されたわ。もっとも、それは限られた人でしょうけど」

 アイは片手を目の前にかざすと、その人間を指折り数え始めた。

「筆頭は、ケイ。そして、ユウとティー。当面はこれくらいかしら」

 それらは総て、巫女姫に関わるものたちだった。そして、ティーには力がないことを知っている人間だ。アイに本物の巫女の力があれば、何かの拍子にティーが巫女の名を騙っていることが明るみになるかもしれない。そうなれば、不都合な人間ということになる。

「楽しそうだけどな、命の危険だってあるんだぞ」

 邪魔なユウ達を始末するのは、村の権力者である彼らなら容易いかもしれない。ユウとアイが姿を消しても、元々旅人の二人なら旅立ったといえば誰もが納得するだろう。

「大丈夫よ。私が張った結界は、ここの誰にも破れないわ。力の大きさが違うもの」

 アイは事も無げに言うと、巫女姫様のところに行くと言って部屋を出て行ってしまった。

 一人になったユウは、念のため護身用のナイフの手入れをした。そしてそれはすぐに出せるよう、胸元にしまいこんだ。確かにアイには、精霊の力があるかも知れないが、少女であることは変わりない。もし、純粋な暴力に晒されれば勝ち目はないだろう。そんなときには、自分が彼女を守らなければならない。

 そう考えていると、外から声がした。どうするかしばらく考えて、ドアを開けるとそこにはジェイがいた。

 ジェイはユウを見て、あからさまに嫌そうな顔をした。それを見て、こいつと相性が悪いのはどこの世界でも共通なのかと、少しおかしかった。

「あの娘は?」

 ジェイは部屋を覗き込みながら聞いた。

「巫女様のところだ」

「お前、あの娘のなんなんだよ」

 ジェイが面白くなさそうにユウを見た。けれどユウには、ジェイに返す答えが無かった。アイとの関係は、他人に説明しても理解されないものなのはわかっている。だからといって、アイのように思わせぶりに誤魔化すことも自分には無理だ。

 ユウの沈黙をどう取ったのか、ジェイはイラついたように大声をあげた。

「かっこつけてんじゃねえぞ。なんとか言えよ!」

 そしてユウの胸元を掴みかけるが、その手はユウに触れることは無かった。

 ジェイの手はユウの躯に触れる瞬間に、勢い良く弾き飛ばされたからだ。それは昨日、アイに触れようとしたユウが体験したものよりも、激しいものだった。

 手を押さえよろめいたジェイに、追い討ちをかけるように、アイが走りこんできた。

 ジェイとユウの間に入ると、ユウを庇うかのようにジェイを睨みつける。

「私のユウに触らないで!」

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