FC2ブログ

スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←Bird―in―the―cage 第2章(3) →待雪草を君に (1)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png はじめに
総もくじ  3kaku_s_L.png ORIGINAL
総もくじ  3kaku_s_L.png 鬼畜眼鏡
もくじ  3kaku_s_L.png 逆転裁判
もくじ  3kaku_s_L.png 黒子のバスケ
もくじ  3kaku_s_L.png 日記
  • 【Bird―in―the―cage 第2章(3)】へ
  • 【待雪草を君に (1)】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

「ORIGINAL」
Bird―in―the―cage

Bird―in―the―cage 第2章(4)

 ←Bird―in―the―cage 第2章(3) →待雪草を君に (1)
夏なので、ホラー系をTVでよくやっていますが、この手の話はハッピーエンドが非常に少ない。
内容的にそうなるのでしょうが、ハリウッド物に多い、『一件落着、めでたしめでたしと安心していると
エンドロールの最中に、その内の一人が意味ありげにほくそ笑む…』という、これで終わりじゃないだぜ
的な終わり方はあまり、好きではありません。思考が単純なもので…。


(4)

 もう一人のユウがティーの片手を恭しく持ち上げ、ティーが静かに空いている席に着く。その手を離したユウが、すかさずティーの前にお茶を差し出す。宝物のような扱いだが、それが当たり前らしく誰も何も言わないし、ティーも自然にそれを受け止めている。

 巫女姫――その呼び名にどんな意味があるのかどうかは知らないが、それだけ価値がある存在なのだろう。アイは自分と同じと言っていたが、それなら精霊の力を使って村を護っているのだろうか。ケイは昔は諍いが多かったと言っていたし、ティーの力でこの村が平和になったのであれば、この扱いは当然だろう。

「巫女姫様、先ほどは美味しいお茶をありがとうございました。緊張してしまって、さっきはお礼も申せず申し訳ありませんでした…」

 控えめなアイの言葉に思わず絶句したのは、二人のユウだった。ティーの部屋でアイは結局、何も飲んではいない。一杯目はティーにかけようとし、ユウに強要した二杯目は、「私、熱いのは飲めないの。あなたにあげるわ」と、平然とこの世界のユウにつき返していたのだ。

 目しか見えてはいないがその目が驚愕に見開き、その後すぐに眇められたのをユウは見逃さなかった。おそらく、アイは油断ならない人物として、このユウの中で位置づけられたようだ。

「お気に召したのなら、嬉しいわ。ここには、私と同じくらいの女の子が居ないのです。できたら――」

 ティーの言葉を遮ったのは、ケイだった。                        

「それはいいね。うん、そうすればいい。ここにいる間は、アイちゃんは巫女様のご友人ってことで。皆も、文句ないよね」

 明るく言いながら周りを見渡した後、他が何も言わないことを確かめるとにこにこと頷く。しかしユウには、他の人間は何も言わなかったのではなく、言えなかったのだと気付いていた。ケイとそれにティー、この村の最高権力者に逆らえるものなど居るはずがない。少なくとも、一人以外は――。

おずおずと、その例外の一人であるアイが、意義を申し立てた。

「あの、いいんでしょうか?そこの影の方が、私を睨んでいる気がするのですけど…」

「ああ、気にしない。気にしない。あいつは元々、目つきが悪いんだよ」

 ケイは殺気すら放ちそうなユウの眼差しを、あっさりと片付けた。

「私はとても、嬉しいのですが、それで、本当によろしいのですか?」

 アイは困惑したように、今度はティーに向かった。

 するとティーは、大きく頷いたばかりか、

「この後、私の部屋に来てもっとお話しましょう。待ってますから」

 と言い残して部屋を去っていった。

 

「いいのかよ。あの巫女さんの所に行くってことは、あいつも居るってことだろ。大丈夫なのか。あいつ、人目がなけりゃお前を殴るくらいしそうだぞ」

「あら、あなたって女を殴る趣味があったの。知らなかったわ」

「そうじゃなくて」

 部屋に戻るなり、ユウはティーの所に行こうとするアイを引き止めた。

「――わかってるわ。私に何かするなんて、誰にも出来ない。さっき、あなたも弾き飛ばされたでしょ。あれと同じ。それでも私に触れることが出来たら――」

 アイは扉に手をかけ、部屋を出て行きながらユウに振り向いた。

「出来たら、どうなんだ?」

 アイはそれには答えず、唇を微笑みの形にしたまま部屋を出て行った。

 食事の前にユウがアイに触ろうとしたとき、確かにユウの手はアイの躯に触れることなく何かに弾き飛ばされた。それはアイの持つ力の一つなのだろうとはわかるが、巫女であるティーも同じ力を持っているといってはいなかっただろうか。それなのに、アイは確信を持っているようだった。

 アイという娘の言動はユウには理解できないことが多いし、人を煙に撒くような言葉も多い。しかし、アイはユウを騙したり、利用することはしていない。説明しなければならないときには、きちんと話している。

 それに、アイは出て行くときにこう言った。

「この部屋から出ないで。私より、あなたの方が危ないのよ」

 今はケイを初め、ここにいる人間は表立って危害を加えてくることはないだろう。しかし、それが何時まで続くのか、何時豹変してもおかしくはない。

 ユウはティーの所に行ったアイが気になりながらも、アイの忠告を守ることにした。とりあえず、ユウにとって一番信用に足る人間はアイしかいないのだから。

 

 アイが戻ってきたのは、それほど時間が掛からなかった。アイは出て行ったときと同じような、形だけの笑いをユウに向けると、そのまま自分の部屋に行こうとした。

「待てよ」

 ユウは横を通り過ぎようとしたアイの手を取ると、それを引き止めた。思わずそうしながら、ユウは握った自分の手を見直してしまった。

「なんでだ…」

 呟いたのが聞こえたのだろう、アイが素っ気無く言った。

「別に私に触れない訳じゃないわ。私に敵意がある人だけ、効果がある結界を張っただけよ」

「どうだったんだ?」

 ユウは納得しながら、アイの手を離さなかった。

「何が?」

「話したんだろう、巫女さんと」

 アイはそこで、ユウの顔をきちんと見据えると、今度は苦笑めいた笑いを浮かべた。

「流石に、名前は呼びにくいみたいね。ま、いいけれど。それで、何が聞きたいの?」

「とりあえず、全部かな…?」

 ユウが首を傾げながらいうと、アイは吹き出した。

「どうして、そこで疑問系なの」

 笑いながらアイは、中央に置かれたテーブルにユウを引っ張ると椅子に座らせた。

「いいわ。とりあえず、わかっていることは話すわね。それで、いい?」

 ユウは頷きながら、アイから手を離した。アイは、ユウの向かい側に座ると、ゆっくりと話し始めた。

「この世界は、あなたのいた世界によく似ているわ。私が力を使えるのも同じね。この村は、巫女によって支えられている。巫女の力によって、この村は栄え、平和を保っている。だから、巫女は最優先されている」

「影ってのは?」

「おそらく、あなたとティーの間に主従関係を交えたと考えればいいんじゃないかしら。そして、ケイはこの村の統括者。何故なら、巫女は彼の娘だから――」

 ユウは一瞬、呼吸を忘れてアイの顔を凝視した。ケイとティーが親子だとするのなら、ケイという男は本当は幾つなのかと薄笑いを浮かべた顔を思い出し、それを消すようにユウは頭を振った。アイはそれを見て少し肩を竦めただけで、話を続けた。

「でもね、驚くのはそこじゃないわ。彼女、こっちのティーは盲目のただの少女に過ぎないのよ」

「――どういうことだ?」

「ベールと薄暗い部屋、そこに香が焚いてあったのは覚えているでしょう。盲いている彼女は、感覚が鋭い。部屋の中なら、第三者の心の中も汗なんかの匂い、僅かな動きで察知できるはず。香はそれを隠すためのものね」

 ユウもその話は聞いたことがあった。五感の何れかが損なわれている人間は、それを補うために他の感覚が鋭くなると。

「じゃあ、あのティーは巫女じゃないのか?」

「いいえ。彼女は巫女として存在しているわ。だけど、力を持っていないのは確かね」

 この村は巫女の力で支えられていると、アイは言った。それなのに、巫女であるティーには力がないと言うのはどういうことなのか。

「――巫女には力が無い。でも村は力で成り立っている。どっちも本当の事よ。これで、考えられることは二つね」

「二つ?」

 アイはそこで口を噤むと、ユウを見て首を傾けた。どうやらアイは、簡単に答えを教える気はないらしい。ユウは、考えを巡らせた。

「一つは巫女はお飾りでも、他に力が使える奴がいればいい。もうひとつは…なんなんだ?」

 アイはユウの答えを聞くと、口を開いた。

「もう一つは、巫女の力が過去の遺物だった場合ね」

「過去の遺物?」

 ユウが言葉の意味がわからず復唱すると、アイは言い直した。

「つまり、昔は本当に力のある巫女がいて、村を支えていた。そしてそれは今も続いていると思われている。だから、この村は存続できている」

「それで、本当はどっちなんだ?」

 アイは、首を横に振った。

「今はわからないわ。確認するには、この村に力を持っている人間がいるかどうかを調べないといけないから」

 それに頷きながら、ユウは思った。巫女の存在で成り立つ村において、巫女が尊重されるのは当然だ。ケイもその実力もさることながら、巫女の父親と言うのも、地位に大いに関係しているはずだ。けれど、実はその巫女には力がなく、それを他所から来たアイが知っているというのは、非常に不味いのではないか。

「お前、大丈夫なのか?」

 部屋に戻ろうと立ち上がったアイは、不思議そうにユウを見た。

「巫女に力が無いことは、秘密なんだろ」

「当然でしょ。私たちも知らないふりをしなくちゃね」

 ユウも頷きながら、立ち上がったが、そこまでの事情は知らなくてもよかったのにと、アイの話を聞いたことを少し後悔した。

 アイは部屋に入り扉を閉める寸前に笑った。

「あなたが望んだのよ、全部聞きたいって。悔やむのなら、自分の好奇心にしてね」


総もくじ 3kaku_s_L.png ORIGINAL
総もくじ 3kaku_s_L.png 鬼畜眼鏡
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png はじめに
総もくじ  3kaku_s_L.png ORIGINAL
総もくじ  3kaku_s_L.png 鬼畜眼鏡
もくじ  3kaku_s_L.png 逆転裁判
もくじ  3kaku_s_L.png 黒子のバスケ
もくじ  3kaku_s_L.png 日記
  • 【Bird―in―the―cage 第2章(3)】へ
  • 【待雪草を君に (1)】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【Bird―in―the―cage 第2章(3)】へ
  • 【待雪草を君に (1)】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。