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「ORIGINAL」
Bird―in―the―cage

Bird―in―the―cage 第2章(3)

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暑さのあまり、頭が沸いてる気がします…。
性悪な登場人物が多くてびっくりしていますが、この中で一番は誰なのでしょう?
書いていて気になるところです。


(3)

 

 二人が案内されたのは、一階の一室だった。扉を開けると、居間のような部屋があり、奥には扉が三つあった。

「向かって右の扉が、アイちゃんの寝室。左がユウくんね。真ん中は、共同で使う風呂とか水周りになってる。この部屋は好きにしてくれて構わないよ。なにか、不自由があれば、遠慮なく言ってくれればいいから」

「ケイ様、ありがとうございます。それでは、遠慮なく使わせていただきますね」

 アイはケイに対し丁寧に頭を下げると、にっこりと微笑んだ。ケイはそれに読めない笑顔のまま、頷いて応えると部屋を出て行った。

 ケイの姿が消えると、アイは大きく溜息をつくとその場に座り込んだ。

「大丈夫か?」

 アイは大儀そうに片手を挙げ、近づこうとしたユウを制すると印を結んだ。

「シルフよ護りを広げ、我が居とする場所、憩う処そのすべてを包め」

 唱え終わると同時に、アイの躯は崩れるように倒れこんだ。ユウはアイを抱き起すが、アイは目を閉じたまま、ぐったりと躯も力を失っている。もともと白い肌が、蒼白にも見える。

 ユウは寝室で休ませようと、アイを横抱きに抱え立ち上がった。胸元のアイの唇が動いた気がして、ユウはアイの顔に耳を寄せると声を聞き取ろうとした、そのときだった。前触れもなく外に通じる扉が、勢い良く開け放たれた。

「言い忘れたんだけどね。食事なんだけどさ――」

 扉を開けながらケイが入ってきたが、ユウとアイを見ると、しゃべりかけた姿勢で固まった。ユウも振り向きかけた体勢のまま、ケイと視線があった。

 ユウは瞬きも忘れて、立ちすくんだ。ケイも、口を開いたままだ。

 いたたまれないほどの静寂が、室内に満ちる。

 ややあって、ケイは無精ひげの生えたあごに片手をやると、何度か頷いた。

「いやあ、悪かったね。若い二人の邪魔しちゃってさ。ま、食事になったら呼びに来るから、それまではゆっくりしててよ」

 ニヤニヤとしながらケイはその場を後にしようと、踵を返した。ユウは人の悪そうなケイの笑いで、自分がアイを抱きかかえ、その上に彼女の顔に顔を寄せていた場面を見られた可能性に気付いた。というより思わせぶりな行動は、そうとしか思えない。

 ユウはケイにどう思われたかを考えると、その場で頭を抱えたくなったが、アイを休ませなければと歩きだした。その背中にケイが追い討ちをかけるように、声をかけた。

「次はちゃんと、一声かけてから開けるから心配しなくていいからね」

 ユウは腕に力を入れなおし、アイをしっかり抱えると、ケイを無視して扉を開けると目に入ったベッドにアイを寝かせた。ゆっくりと降ろしたつもりだったが、衝撃がそれなりにあったのだろう、アイの目が薄く開く。

「大丈夫か?」

 ユウの声に、アイはゆっくりと頷くと唇を動かした。聞き取れず、ユウはアイのキチ元に耳を寄せた。さっきの場面を思い出し、顔が熱くなっているのが自分でもわかったが、仕方がない。

「…勘違いしてくれたかな…」

 アイは呟くと、目を閉じた。

「一体、何をだよ!?」

 ユウはアイの言葉の意味を理解したのは、アイが完全に眠りにおち、ユウが自分ベッドに腰を下ろした後のことだった。

 

「――ユウ、ユウってば、起きなさいよ」

 ユウは聞きなれた声に反射的に、返事を返していた。

「今、起きるよ。うるさいぞ、ティー」

 上体を起こすと伸びをしながら、薄目を開けるとそこには闇の色が広がっていた。一瞬なにかがわからず、目をしっかり開けると、それが髪であることがわかった。髪の主は、ユウの目の前で俯いているらしい。

――ティーの髪って、黒かったっけ…――。

「やだ、ユウったら寝ぼけてるの?ご飯だよ、ご・は・ん」

 ティーの声に、ユウは反射的に手を伸ばした。長い髪に隠れた頬に手を当て、顔をあげさせようとした。しかし、それはするりと身を躱されてしまった。それだけでなく、髪に触れる寸前、ユウの手は見えない何かに弾き飛ばされた。

「痛っ!」

 ユウは手を引きながら、痛みではっきりと目が覚めた。

「――アイ、お前、何のつもりだ?」

 アイは笑いを堪えているらしく、肩を震わせていた。

「なあに?お目覚めの口付けでも、欲しかったのかしら?

 私としては、心地よく起きれるように、考えてあげたつもりなんだけど――」

 ユウはティーの声真似に騙されて、醜態を晒したことになる。無論それは、アイが意図したことであると、あからさまではあるのだが。

「――悪かったよ」

 言い争っても勝てる気はしないし、自分が軽率だという自覚もあったユウは素直に謝った。すると、アイはすっと表情を引き締めると、ユウに近づくと耳元に囁いた。

「油断しないで、ここには本物のティーがいるんだから。あなたの知らない彼女がね」

 アイその躯を翻すと、部屋を出て行った。ユウも、その後を追った。

 居間には、ケイとジェイが二人を待っていた。

「疲れは取れたかな?これから、皆で食事をするからね。一緒に食べようと思って、誘いに来たんだよ」

「お気遣いありがとうございます。ご一緒させていただきますわ」

 アイが上品にケイに応えると、横からジェイが口を出した。

「巫女様に礼を言うんだな。お前らと一緒の席で――」

「ジェイ。もう、下がっていいよ」

 ケイはジェイに顔を向けると、言葉は柔らかく命じた。その表情はユウからは見えなかったが、想像はついた。以前にアイが見せた、笑っているが瞳は全く逆の貌だろう。その証拠に、ジェイは顔色を変えるとあわてて部屋を出て行った。

「悪いね、なんか慌ただしい奴でさ。困ったもんだよね」

「いえ、きっとジェイ様は真面目な方なのですね」

「アイちゃんて、いい子だなぁ。ぼく、感動しちゃうよ」

「いやですわ、ケイ様」

 ユウは白々しさが一切見えない、だからこそ恐ろしい二人の会話についていけなかった。しかし早く止めて欲しいと願うユウを他所に、食堂に案内され席に着くまで繰り広げられた。

 

 食堂には何人かの男たちが席についていた。その中には、ジェイの姿も見えたが、ケイが部屋に入ると、一斉に立ち上がり一礼をする。

「大げさだな。皆、楽にしようよ。ご飯なんだから、ね」

 ケイはのんびりと歩き、最後の声だけはアイに向かって掛けるとアイを席に座らせた。

 ユウにはアイの横を指差し、そこに座るように促すと、自分もユウとは反対側のアイの隣に腰を降ろした。

 それを見て、男たちも座る。思ったより、ケイと人物は権力者らしい。見た目は全くそうとは見えないが。

 目の前に皿が幾つか並べられ、食事が始まった。ユウはとりあえず、目の前の食事に集中することにした。横の和やかだが、真意は全く見えてこない会話など聞きたくもない。

 ただその中で、自分の名前が出てきたときには動きが止まった。

「ユウはね、孤児だったんだよ。今じゃ落ち着いているけど、以前はね村同士の争いが多くて、戦が絶えなかったんだ…」

 流石にこの話をするケイの口調は、いつものような軽いものではなかった。

「私の生まれた処もそうでした…。和平には村同士の婚姻が常で、私はそれが嫌で、逃げ出したのです。彼と一緒に――」

 アイはそう言うと、はっとしたように口をつぐんだ。そしておずおずと俯きながら、ユウにはにかんだ微笑を見せる。ケイはそれを見るとすかさず、にたりといやらしげな笑いと冷やかしをユウに向けた。

「やるねえ。このユウ君は、うちの子とは違って、大胆だったんだ」

 アイは俯いた顔を益々下に向けて、肩を震わせた。見れば両手を硬く、膝の上で握り締めている。

 ユウはどう繕ってよいかわからず、下を向いたままのアイと、にやにやと笑いを浮かべているケイを見比べるしか出来なかった。

 ユウは途方にくれ、いっそのこと食事を終わらせようかと思ったとき、思わぬ人物によりその場の空気は劇的に変化した。

「私も、ご一緒させてくださいな」

 影に導かれて室内に入ってきたのは、ベールをかぶったティーだった。


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