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「ORIGINAL」
Bird―in―the―cage

Bird―in―the―cage 第2章(2)

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書いてる私が楽しい回でした。
男は若さだけじゃないって、つくづく思う今日この頃…。
前の月9のドラマの最終回で、男の人の無精ひげって結構、セクシーかもと、ちょっとトキメキました。



(2)

 

 二人が連れて行かれたのは、村の一番奥にある人目でそれとわかる家だった。それは一際大きく、壁には複雑な文様が描かれている。扉も鮮やかな朱色に染められていた。

 扉を開いてすぐに剣を携えた一人の男が、ケイに敬礼をする。ケイがこの村の責任者というのは、どうやら本当らしい。

「ジェイ、ごくろうさん。巫女様はもう起きてるかな?」

 ケイがその名前を呼ぶ前に、ユウにはそれが誰かすぐにわかった。その顔は、ユウのしるジェイとそっくりだったからだ。

「はい。奥で、お待ちになっております」

「そっか、ならこのまま行っても大丈夫だね。じゃ、行こっか」

 二人を縛った縄を持った手とは反対の手を軽く振りながら、ケイは二人を奥へと促した。無理に引っ張られることなく、二人の歩幅に合わせてケイはゆっくりと歩いていく。長い廊下をいくつも曲がった後、階段を下った。

 

階段を降りた先には廊下が奥の扉まで続いており、その先が二人の行き着く先のようだった。

「巫女姫様とは、どのような方なのでしょうか?」

 扉を前にして、アイがこの村についてから初めて口を開いた。ケイは面倒くさそうに服のあちらこちらを探り、鍵を取り出して開錠する。

「まあ、会ってみればわかるんじゃないかな。あ、一つ忠告しておくけど、この先で縄を解いてあげるけど、変なこと考えちゃ駄目だよ」

 ケイはその言葉通り、扉を開けて室内に入ると二人の縄を解いた。

「巫女様には、影がついてるから。何したって無駄なんだけどね。一応、忠告ね」

 アイは手首を手で擦りながら、ケイに向かって微笑んだ。

「この村は巫女姫様が支えておられるのですね。私のいた処では、神官様がそうでしたけれど」

 ケイはそれには答えず、そのまた奥の扉を指差した。

「ここからは、二人だけで入ってもらうよ。巫女様に君たちが危険じゃないことを確認してもらわないと、ここに迎え入れる訳にはいかないんでね」

「ユウ、行きましょう」

 アイはためらいもせずに、奥に向かって歩き始めた。ユウもその後を追い、追いついたと同時に、ケイに聞こえないように囁いた。

「大丈夫なのかよ」

 アイは視線をユウに向けただけで、何も言わない。ユウは、言葉を繋いだ。

「巫女とかあいつとか、信用できるのか?部屋に入った途端、ばっさりなんて御免だぜ」

 アイは視線を前に戻すと、

「殺すなら、村に入る前にそうするわ。それに、ここで私を殺すことは出来ない。それが例え、力のある巫女だとしてもね」

「精霊の力か?」

「ここは、かなり精霊の力を感じる。おそらく、巫女というのも私と同じだと思うわ」

 アイは扉の前で足を止めると、一つ大きく息を吸った。そしてケイには見えないようユウを盾にして、指で印を結びながら呪いを唱えた。

「我が使役するもの、命じるもの。出でよ、シルフ。我を護し衣となれ」

 アイが唱え終わるのを確かめて、ユウは扉に手をかけて大きく開いた。

 中はかなり暗く、窓がないようだった。アイがユウの開いた扉を閉めると、一際に闇の色が深くなった。

 何度か瞬いて暗さに目が慣れてくると、部屋の様子がぼんやりと見えてきた。

 室内はそれほど広くはなく、部屋の中央に天蓋のような薄い布が、仕切る場所があった。香でも焚いているのだろう、微かに甘い花のような香りがしている。

 

「どうぞ、奥にお越しください」

 若い女の声がした。その声は薄い布越しに聞こえたが、ユウはそれよりもその声に聞き覚えがあった。

 ユウは確信を持って、その布に手をかけ中の人物と対面した。

「はじめまして、私はティーと申します」

 中に座っていた人物が名乗ったのは、ユウの予想通りの名だった。

「お初にお目にかかります、巫女様。私はアイと申す、旅のものでございます。これは、私の従者でユウでございます」

 アイは、ティーに向かい膝を折り、頭を下げた。ユウのそれに倣いながら、視線を上げティーを観察した。

 ティーは頭から薄絹を纏い、一段高い台座に座っていた。体の線も、ゆったりとした布で覆われよくはわからないが、細身なのは確かだろう。

「楽にしてください」

 ティーはその手で座るように指し示すと、一つ手を打った。

「失礼いたします」

 アイが断ってから座ると、ユウにもそうするよう声をかけた。床には敷物が敷いてあり、この部屋がいかに特別なのかがよくわかった。

「この村に滞在されるなら、この館にお泊りください。部屋は空いておりますし、何かご入用ならば、申し付けてくだされば――」

 言葉の途中で、二人の前にカップが置かれた。中からは、湯気が立っている。さっき手を打ったのは、茶の用意をさせるための合図だったのだろう。

 茶を置いたのは、影だった。正確に言えば、黒装束に身を包んだ人だ。顔も黒い布に覆われ、見えるのは碧い目だけだ。影はアイに向かい一礼すると、身を翻し姿を消した。物音一つ立てず、瞬きする暇をない早業は見事としかいいようがない。

 なるほど、あれがケイの話した巫女についているという影なのだろう。

「いただきますわ」

 アイは置かれたカップを手に取ると、何度か息を吹きかけ冷ましている。ユウもカップに手を伸ばし持ち上げた。

 アイはカップを持った手を翻し、いきなり中身をティーに向かい浴びせようとした。それは気負った様子もなく、ごく自然に行われたためユウは一瞬、どうなったのかわからないほどだった。かけられたティーですら、避けることもしない中で、唯一動いた者がいた。

 一陣の風が巻き起こり、ティーにかかるはずの茶は黒い腕に吸い込まれるように受け止められた。そしてアイの喉元に短剣の切っ先を突きつけているのは、影だった。

「よく躾けられた犬だこと」

 目の前の刃を全く気にしない様子で、アイが皮肉る。影の腕に力が入ったのが、ユウからもよくわかった。その気になれば一瞬で、アイの首は床に落とされるだろう。

「あなたの名前は?」

「ユウ、お止めなさい」

 アイとティーの声が同時に響いた。

「ですが、ティー様」

 影から聞きなれた声がするのに至って、ユウは認めたくない現実を認識した。この影は、自分なのだと。

「少し悪戯がすぎたようね。とりあえず、その物騒なものしまってくれない。あと、お茶のお代わりをお願いするわ」

 アイは短剣を手にしたカップで押し退けると、それを影に押し付けた。

「早くしてね、ユウ」

 アイは小首をかしげて、影に向かって微笑んだ。それにつられたかのようにカップを受け取るのを見て、ユウはどこの世界でも自分はこの少女に敵わないのだと実感し、もう一人の自分に少し同情した。

 

 その部屋を出ると、そこにはケイが本心の見えない笑顔で待っていた。

「どうやら、大丈夫だったみたいだね。いやぁ、よかった、よかった」

「巫女姫さまに、お茶をいただきましたの。本当に美味しゅうございましたわ」

「そう、あれはね、ここの特産品なんだよ。アイちゃんは、目が高いね」

「巫女姫さまから、ここに置いていただくお許しを頂きました。ケイ様、しばらくの間、ご厄介になってもよろしいでしょうか?」

 アイはケイに上目遣いで、話しかけている。それは媚びた仕草ではなく、不安を抱いて相手に懇願しているようにしか見えない。その様子は普段のアイを知っているユウですら、騙されそうになるほど自然だった。

「そうみたいだね。じゃあ、部屋に案内するから、ついてきてくれるかな」

 ケイはさくっと、アイの言葉を受け流すと、二人に背を向けた。

「だから、おっさんはやりにくいのよ」

 ケイの後ろをついていく途中で、アイの極々小さな呟きを聞いたような気がした。


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