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「ORIGINAL」
Bird―in―the―cage

Bird―in―the―cage 第1章(6)

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ちょっとは甘くするつもりが、想像以上に手が早かった主人公…。
なんでだろう――。でも、そのようなアレはございません。だって、ジュブナイルですもの。

まったく関係ないですが、最終回でも主人公の素性が明かされないのは、すっきりしません。
ご想像にお任せしますってのはねぇ…。伏線は回収して欲しいと思うのは、私の想像力が足りないせいでしょうか?(某少年漫画の最終回を読んでそう思いました)
この話はそのようなことはしませんが、私の文章力で表現し切れるかは疑問です…。



(6)

 

「お世話になりました」

 アイが礼儀よく頭を下げたのは、次の日の昼食後だった。

「えっ、もう行っちゃうの?」

 ティーが驚いたように言った。

「はい。私の探しているものは、ここにはないようなので――」

 アイは申し訳無さそうに、俯いた。

「――そうだよね。アイちゃんは、目的があって旅をしてるんだよね」

 ティーは自分に言い聞かせるように、声を出した。同じ年頃の少女の知り合いがいない彼女にとって、アイは特別な存在なのだろう。

「明日の朝に、出て行きます」

 アイはそう言うと、出かけてきますと声をかけ姿を消した。ユウはアイの後を追おうとしたのだが、予定外の来客のせいで足を止められた。それは、ジェイだった。

 ジェイは家の中に入ってきてから、ティーとケイに挨拶をした。

「ケイのことは、お断りしたはずです」

 失礼なジェイの態度に、ティーは口調をきつくする。

 ジェイはティーの様子も気に留めない風で、ティーに近づいた。手を伸ばせば触れられる位置に来て、ケイがその躯をティーの前に出す。その背中に、ティーを庇うような形になると、ジェイは機嫌を損ねたように顔をゆがめた。

「礼儀がなってないな。それじゃ、うちでは働けないな。

 まぁ、いいさ。今日はティーに会いに来たんだ」

 ユウは自分がここにいてよいのか少し考えたが、ジェイの態度に不穏なものを感じてここに留まることにした。

「私に?」

「婚約者に会いに来るのは、当たり前だろ」

 その言葉にユウは反射的に立ち上がった。勢いが強すぎて、座っていた椅子が倒れ、大きな音がした。その音でユウに、その場いた全員の視線が向けられた。ユウのほうも立ち上がったものの、どうすればよいのか考えあぐねる。

「ふうん、まだいたんだ。モグラ君が――」 

 明らかに侮蔑の眼差しでジェイが、笑った。採掘工をさげすんだモグラという言い方は、もう使う者がいないほどのものだったが、ジェイがあえてそれを使ったことは確かだった。

「そんな言い方しないで!話なら、外で聞くから」

 ティーが、ジェイの手を掴むと、裏庭へと連れて行った。

「やな奴だよね、あいつ。お金があるのはわかるけど…」

 ケイは椅子から降りると、ユウの横を通り過ぎた。

「ああ、そうだな…」

 ユウは倒した椅子を元に戻すと、ケイの後を追った。ケイは自分の道具を取り出していた。

「ぼくがいると、ややこしくなりそうだから山に行ってくるよ。ユウは、お姉ちゃんについててあげて」

 こんな時間から採掘に行っても、大した収穫はないことはケイにもわかっているのだろう。けれども自分なりに考えて、ここに自分がいない方が良いと判断したのだ。

「ああ。気をつけるんだぞ」

 ケイはユウに頷くと、家を出て行った。出かけに、ユウに一言を残して。

「お姉ちゃんをよろしくね」

 

 ユウは裏庭に行こうとドアに近づくと、声が聞こえてきた。どうやら、ティーとジェイが言い争っているらしかった。ユウは走ると、ドアに手を伸ばした。

「――離してよ!」

「素直になれよ、ティー」

「やめてっ!!」

 一際大きなティーの悲鳴が聞こえたときと、ユウは裏庭に飛び込んだのはほとんど同時だった。その目に飛び込んできたのは、押し倒されたティーとその上にのしかかるジェイの姿だった。

 ユウは飛び込んだ勢いそのままで、ジェイの躯を突き飛ばすとティーに声をかけた。

「大丈夫か?」

 一瞬、目に入った乱れたティーの胸元から、慌てて顔を背ける。顔が熱くなるのが自分でもわかった。きっと、耳まで赤くなっているはずだ。

 ティーはそんなユウの様子を見て、自分の姿に気付いたらしく小さく悲鳴をあげると、両手で胸元の服を整えた。立ち上がろうとするが、足に力が入らないらしい。ユウは、ティーの手を引っ張りながら、立ち上がらせた。

「――ありがと」

 ティーもユウと変わらないだろうくらいに赤くなりながら、服についた土を手で払う。

「――お前ら、どういうつもりだ…」

 のろのろとジェイも、額に手をやりながら立ち上がった。それを見てユウがつないだ手を引き寄せて、ティーを抱きしめる。

 ジェイの額からは、血が流れ出していた。ユウに突き飛ばされたときに、どこかでぶつけたのだろう。手で押さえているが、血が止まる様子はない。

「オレに怪我をさせるとは、どうなるかわかってるんだろうな」

 低い怒りを含んだ声でジェイが言う。

「ティーを襲ったのは、お前だろ!」

 ユウの反論も聞かずに、ジェイは裏庭から外へと出て行った。

 ユウは腕の中のティーが震えていることに気付いて、ティーの顔を覗き込んだ。さっきまでの頬の赤みが消え、こわばっているように見えた。

「どうした?」

 ユウの問いかけにも答えず、躯を震わせたままだ。その様子に、ユウはティーの肩に手を乗せ、大きく揺さぶった。

「ティー!?どうしたんだ?」

 ティーはようやくユウを見ると、その躯を捻ってユウの腕から逃れようとした。そして、それがかなわないと知ると手を振り上げ、ユウの手から逃れた。そして、数歩後ずさるとそのまま気を失った。

 ユウはティーを抱き上げると、家の中に運び込んだ。ティーの部屋のベッドに寝かせる。ジェイに襲われたことが、相当ショックだったのだろう。今までティーの周囲には、ケイとユウしか異性はいなかったし、あんな風に扱われることなど想像すらしていなかったに違いない。

 ただそれは、ティーが恵まれていただけに過ぎない。そして、今まで温室に閉じ込めていたのは、他ならないユウだった。

 

 ティーの様子を見守っていたユウが、水を取りに行き戻ってきたときにはティーは目を覚ましていた。

「大丈夫か?」

 ユウは水の入ったコップをティーに渡した。ティーはそれを受け取ると、ゆっくりと口に運ぶ。そして半分ほどを飲むと、コップをユウに返した。

「――ありがとう、ユウ。ごめんね」

 けれどティーは俯いたまま、ユウを見ようとはしなかった。

「どうした、ティー?」

 出来るだけ優しく声をかけるが、ティーは顔をあげない。焦れたユウは、ベッドサイドに腰掛けると、ティーの肩をそっと抱いた。そのまま、自分の胸へと躯を引き寄せる。ティーは自分の頭がユウの胸につくと躯を離そうとしたが、ユウは腕に力を込めそれを許さなかった。片手でティーの髪を撫でると、ティーが力を抜くのがわかった。

「怖かったんだよな。俺がもっと早く――」

 ティーがもぞもぞと腕の中で首を振った。ティーの手が、そっとユウの背中に回される。

「大丈夫だ。お前は俺が守るから。何があっても、絶対に」

 ティーの華奢な躯を抱きしめると、かすかに花の香りがした。これは何の花だったのか、ユウは考えたが思い出せなかった。けれど、優しいその香りはティーにとても似合うように思った。

 どのくらいそのままでいただろうか、苦しくなったらしいティーが身じろぎをしたので腕を緩めると、ティーがユウの顔を見上げた。じっと見つめるその瞳が、潤んでいくのが見て取れた。そして瞬きと共に、丸い頬を涙が伝わって流れた。

「ご、ごめんなさい。あたし…」

 涙が伝った感触で泣いていることがわかったらしいティーは、慌てて目元に手をやった。ユウはその手を掴むと、ティーの瞼にその唇を落とし涙を吸った。そしてそのまま、ティーの唇に口づけた。

 そっと唇を離すと、目を見開いたままでティーが固まっていた。ユウはもう一度、ゆっくりと唇を近づけた。今度はティーも、睫を震わせながら瞼を閉じた。

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