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「ORIGINAL」
Bird―in―the―cage

Bird―in―the―cage 第1章(5)

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ゴールデンウィークで、ちょっと間があきましたが、書いていて重大なことに気がつきました。
それは……主人公の二人は、相思相愛じゃないってことに…。
それどころか、悪くすれば反発してもおかしくない状況です――。




(5)

 

「あら、驚かないのね。つまらない…」

 アイは平然とユウの横に歩み寄ると、その顔を覗き込んだ。

「私の話を聞く気になった?」

 ユウは何も言わず、沈黙で肯定を示した。

「その様子だと、初めから気付いてたって感じね。どうして?」

「――お前の髪と瞳の色だ。この世界では、髪と瞳の色が一緒の人間はいない」

 アイはそれを聞くと、つまらなそうに一つ頷くと、家の柵にふわりと腰掛けた。まるで、重さなど無いような動作に、ユウが目を見張ると、アイは意味ありげに笑った。

「こんなことが出来るのも、証明の一つよね。で、何から話しましょうか?」

 ユウは、少し考えた。何をどこから聞けばいいのか…。そして、アイという少女の正体――。聞きたいことは、幾らでもあるようで、よく考えるとあまり無いような気もする。

「お前は何者なんだ?ここに来た目的は?」

 アイは微笑んだ表情はそのままで、瞳だけをそっと細めた。まるで、猫のように――。

「私が生まれたのは、ここではない世界よ――。あなたのいる世界とは別の、だけどどこか繋がっている、そんな世界」

 アイは謡うように話し始めた。

 

「私のいた世界は昔、とても栄えていたそうよ。‘神’の管理のもとにね。けれど、いつしか‘神’の力は失われ、世界は荒廃していった…。

 現在の発展度は、この世界と同じくらいね。ただ、‘神’の施設は、代々、神官の家系が守っているの。私の家は、その神官の家だったわ」

 アイは言葉を止めると、両手を差し出して印を結んだ。

「出でよ、ジード」

 その瞬間、アイの指先から小さな炎が立ち昇った。少しの間、アイの両手の間で、炎は燃えていたが、アイが両手を合すと同時に、それは消え去った。アイは、何もないことを示すように、その手のひらをユウの目の前に広げて見せた。

「神官の家の者は、精霊を使役出来るの。精霊は火・水・風・土の全部で四つ。神官の家系は、他にも幾つかの家があって、その中に『ユウ』がいた。私の世界のあなたよ」

「俺――?」

「そう。同じ顔同じ名前をした、けれど違うあなたがね。彼は、神官の家に生まれながら、精霊を呼ぶことが出来なかった――」

 アイは少しだけ眉を寄せた。苦しいような哀しいような、そんな表情をしながら、ユウの顔を見つめた。しかし、その視線はユウを見ていないことはわかった。彼女は、ユウの向こうに、自分の世界の彼をみているのだろう。

「精霊を使役できない代わりに、彼は天才だったわ。古文書を解読し、‘神’を作動させる方法を、見つけてしまった…」

 ユウはアイから顔を逸らすと、少し笑った。

「天才ね…。中身は、全く違うんだな」

 アイは肩をすくめると、首をかしげた。肯定でも否定でもない、ただわからないという意思表示なのだろう。

「でもね、それはやってはならないこと。なぜなら、‘神’を始動させるには、膨大な動力が必要なの。それは、世界を破滅させるほどの力が…」

「そいつは、‘神’を始動させようとしているのか?」

 アイは頷くと、言葉を続けた。

「世界は一つではない。私たちの世界を滅ぼさず、力を得るにはどうすればいいと思う?」

 アイの問いかけに、ユウは考えを巡らし、そしてぞっとした。アイは初めに、こことは違うが繋がっている世界から来たといった。そして、世界を破滅させるほどの力が必要なのだと――。

「…まさか…」

 ユウは自分の考えを否定して欲しくて、アイを見た。しかし、アイは静かにかぶりを振った。

「自分の世界ではない、他の世界を滅ぼして、動力を得ればいい。彼はそう考えたの。

 私は彼を自分の世界では、止めることが出来なかった。だから、世界を渡ったの。彼を止めるために――」

 アイの表情は、哀しげに歪んでいた。おそらく、自分が止められなかったことを後悔しているのだろう。ユウはそのとき初めて、アイがティーと同じ少女なのだと実感した。

大人びて、不可思議な能力を持っていても、普通に悲しむことが出来るのだと思った。

「‘げーと’を開いて、違う世界をまわれば、廻り廻って元の世界に戻る。その時に、彼を止めることが出来れば――」

「そんな、呑気に構えてていいのか?お前が世界を廻っている内に、‘神’が始動したら…」

「それは大丈夫。始動に必要な鍵は、私が持っているから」

 アイは自分の胸元から、ペンダントを取り出した。小ぶりのそれは、ユウが見たことも無い蒼い石をはめ込んだものだった。

「鍵がなければ、始動は不可能よ。だけど、戻らなければ施設を止めることも出来ない。施設を封印して、誰も使えないようにしなければ――」

 アイはペンダントを大事そうに撫でると、胸元に仕舞いこんだ。一瞬アイの表情が柔らかくなったように、ユウには見えた。

 おそらく、とても大事なものなのだろうということは、アイの様子からしてわかる。けれど、それだけではないような気がした。アイの見せた表情は、ティーがユウに見せたものとよく似ている気がした。

「――それに、私だけではもう止めることは出来ないわ」

 ユウはアイの言葉を繰り返した。

「『私だけでは――』?」

 アイは柵から飛び降りると、ユウの間の前に立った。

「施設に入るには、マスターの認証が必要なの。彼はそれを書き換えてしまった。――自分にね。だから、彼の承認なしでは施設に入ることすら出来ない」

 アイはユウの横を通り過ぎると、振り向かずに言った。

「だから、ユウの助けが必要なの。他の世界のユウの力が――」

 ユウはアイを追うように踵を返したが、アイの姿はもうどこにも無かった。

 ユウは知らないうちに握りこんでいた手を開きながら、溜息をついた。アイと話すことはユウにとって、非常に疲れるものだった。意味ありげな言い回しを考え、それに相応しい答えを返さなければ、切り捨てられそうだからだ。

「あいつは、俺を探しに来たのか?」

 答えるものの無い問いを口にしながら、ユウは思った。多分、アイは自分に協力を求めてはいないだろうと。そのつもりなら、初めからもっと友好的にユウに接していたはずだし、今もユウの答えを求めなかった。

 ユウにしてみても、アイに協力する義理はないし、世界を廻りたいなど思っている訳でもない。しかし、全くユウに期待していないアイの言動に、面白くないと思った。

 ――正直に、頼めば考えないこともないのに…。素直じゃない奴だな。

俺もユウなんだぞ。わかってるのか、あいつ――。

 

「もう、家に入ったら?」

 ティーが呼びに来るまで、ユウはそこから動かなかった。いや、もう一度アイが来るかもしれないと、動くことが出来なかった。


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