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「ORIGINAL」
Bird―in―the―cage

Bird―in―the―cage プロローグ

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これは、ジュブナイルだと自分では思っています。
いまはライトノベルというジャンルになるようですが、あくまで古きよき時代のイメージで…。
ここで初めてちゃんとした女の子を書いた事に気が付いて、自分でびっくりしました。^^;





プロローグ  白昼の街

 

 じりじりと容赦ない日光が照らしつける、一面の砂漠の中を進む影があった。

 日差しよけのフードを深くかぶり、目印も見当たらない砂の中を、迷いも無く歩いていく。

 日はまだまだ高く、足元からは陽炎がゆらめいている。緩やかな砂丘を降ると、立ち止まった。

 そこには、砂に埋もれかけた石の一部分が見えた。影は屈みこむと手を伸ばし、砂を払った。よく目を凝らさなければ判らないが、そこにはあちこちに同じような石が姿を見せていた。

 すっぽりと全身を覆ったフードから、伸びた腕にはたくましさは無いが若木のようにしなやかだ。

 繊細そうな指が石の一部分を叩く。何度かそれを繰り返すと、小さく羽音のように唸る音がした。

「パスワードはこれで、解除できたか…」

 一人呟いた声は、張りがあり若い少年といえるだろう。少年の指が今までとは違い、力強く石を叩いた。

 

 ゴゴゴ…。重い音がすると、砂が動きそれと共に砂と石しかない砂の地が割れて、大きな口を開けた。それは、燦燦と降り注ぐ日の光すらうっすらとしか届かない、地下への入口だった。

 

 階段を降りるとそこは扉で閉ざされていた。その前で、少年はフードを脱いだ。まだ青年と呼ぶには早いが、子どもとは呼べない年頃の姿だった。髪の色は亜麻色で、瞳は碧い。少年は理知的な眼差しで、扉を見つめると首にかけていた鎖を取り出した。

 そこには小さな金属が付いていた。少年はその金属を扉の中央にはめ込んだ。

 

――IDハカクニンデキマシタ  コードヲニュウリョクシテクダサイ――

 抑揚の無い音声に従い、少年は扉の中央のパネルに手を触れた。

――コードヲカクニンシマシタ ヨウコソ マスター――

すると、再び抑揚の無い音声と共に、扉のあちこちに光が点り、扉がスーっと開いた。

 少年は迷いも無く、扉を通り中へと入る。そのまま歩くとまた扉があった。さっきと同じ手順で扉を開き、中へと入る。それを何度か繰り返した。

 一際、厳重そうな扉を開き、中へと入ろうとする。

「やめて!」

 その背中に、声がした。高く澄んだ、少女の声だ。

「随分、早かったんだね。アイ」

 少年は振り向くことなく、落ち着いた声を返す。

 アイと呼ばれた少女は、走って来たのだろう。荒い息をつきながら、滴る汗を手のひらで拭った。意思の光を秘めた瞳は黒く、腰まである長い髪も黒い。薄暗いこの空間では、肌の白さがいっそう際立った。

「やめて、ユウ…」

 名前を呼ばれ、ユウと呼ばれた少年は顔をアイに向けた。

「無駄だよ。君に僕を止めることは出来ない」

 アイは悔しそうに唇を噛むと、胸元ですばやく印を結んだ。

「僕を殺しでもしなければ、もう止められないよ。でも、君には僕は殺せない」

 ユウはそういうと、正面を向き歩き始めた。

「我は使役するもの、我は命じるもの、我は召喚するものなり――

 我に従い切り裂け、シルフ!」

 アイは召喚の掛け声と共に、印を結んだ両手で空を切った。するとそこから突風が起こり、ユウに襲い掛かった。それは触れたものを容赦なく切り裂く、風の刃だった。

「無駄だよ、アイ」

 しかし風の刃はユウの躯に触れることなく、光の壁にぶつかり消えた。

「僕はマスターと認識されている。だから、この『施設』の中では僕は誰にも傷つけられることは無い。たとえ、精霊の力を持ってしてもね…」

「IDコードを書き換えたのね」

「そうだよ。もうすぐ、‘神’が目覚める。この世界は、荒廃から救われ、元の豊かな世界になる」

 言いながらもユウは足を進めていく。

「あなたは‘神’になるつもりなの?人は神にはなれないのに…」

「僕は‘神’になるつもりは無いよ。そんなものになったって、何の得も無いからね。僕は、この世界を自由に操りたいだけさ。思うがままにね…」

「あなた、狂ってるわ――」

 アイの呟きに、ユウは足を止めると躯ごと振り向いた。

「僕が狂っているなら、狂わせたのは、君だよ」

 そう云うと、ユウは真直ぐにアイを見つめた。それは狂気など欠片もない、静かに澄んだ眼差しだった。アイは痛ましそうにそんなユウを見つめると、小さく微笑んだ。

「――ごめんなさい…」

 アイの唇がもう一度、動いた。

「切り裂け、シルフ!逆巻け、ウィンダー!燃え上がれ、ジード!飲み込め、ダイア!」

 言葉と共に複雑な印を結ぶ。

「無駄だよ。使役精霊をすべて使っても、僕には届かない」

 アイはそのまま両手を高く上げ、振り下ろした。するとアイの足元に真っ黒な空間が開き、アイの躯を飲み込んだ。

 ユウはアイに駆け寄り、アイの躯に手を伸ばしたが一瞬遅く、アイの姿は空間に消えた。ユウは屈みこみ空間に手を伸ばしたが、その手を拒むかのように空間は閉じて、元の床になった。

 ユウは、弾かれた手を庇いながら立ち上がった。空間に触れた左手は、赤く薄っすらと血がにじんでいる。

「精霊の力で、‘げーと’を開けて別世界に跳ぶとは――。

 だが、世界を巡っても同じことだよ、アイ。君はここに戻るしかないんだ」

 ユウはそのまま、奥へと進みだした。

「楽しみだよ。絶望を瞳に宿した、君が還ってくるのが。

 それまで、せいぜい他の世界で足掻けばいい」

 腕からの血を拭うことも無く、少年は哂った。外の焼け付く陽光も届かない、涼やかな『施設』の中で、その哄笑はいつまでも響き渡った

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