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「ORIGINAL」
Short story

愛しのRへ (3)

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少し、間が空いてしまいましたが、続きです。

登場人物の名前の語呂が悪いのは、これが私の夢で見た話だからです。
これは、そのまんま夢で見たお話です。なので、名前も夢のままにしてあります。

よく、夢はその人の願望の現われなどと言われますが、これはどう判断するべきなのでしょう?
自分が信じられなくなりそうなので、あっさりスルーしてください。



(3)

 

 レジナはヨシヤに振り返ると、一言。

「やだね」

 単純な、それでいて間違いようがない拒絶。

 その言葉に、はっとしたようにヨシヤが、距離を詰めると、もう一度抱きしめようと腕を伸ばした。

 レジナはヨシヤから離れるように、後ずさりながら、困ったように付け加えた。

「ヨシヤ、そんな顔をしないで――。私、マスターのことも、貴方のことも大好きなの。だから…」

 ヨシヤはレジナに伸ばしかけていた腕を、宙に浮かしたまま、信じられないというように首を横に振った。

「今…、なんて……」

「なに?」

 レジナが愛らしく、小首をかしげる。

「今、なんて言った?」

 表情をこわばらせたまま、ヨシヤがレジナに歩み寄った。

 しかし、レジナはヨシヤの異常な様子に、怯えるように後ろに下がった。レジナの表情も、つられるようにこわばっている。

 レジナの手から紅茶のカップが滑り落ち、白いカーペットに紅茶の琥珀の花と、カップの花弁が散る。

 カッシャーーーーン。

 カップの壊れる音なのだろうか。それは今まで築かれていた、ガラスの構図が壊れることなのかもしれなかった。

 不自然な静けさの中にあった、何かが動き出す気配がする。沈黙の中で、今までと違うものが息づき始めていた――。

 

 レジナの表情が、変わる。造作の美しさはそのままに、人形めいた清らかさではなく、悪意に満ちた――ゆえに、違った魅力が溢れる表情。

 さっきまでのレジナを天使と喩えるなら、それはまさしく堕天使と呼ぶべきもの。

「いやだって、言ったんだよ。

 ああ、カップが割れちゃったじゃないか――」

 肩をすくめると、片膝を床について、飛び散ったカップの破片を拾い始める。

「まさか…、レセなのか…?」

 ヨシヤの表情が、期待に満ちたものに変わった。表情はそのままで、おずおずと語りかける。

 ゆっくりと破片を拾い集め、それを捨てたレジナが笑った。元のレジナらしい、邪気の無い笑顔だった。

「どうしたの、ヨシヤ。紅茶、冷めてしまうわ。淹れなおした方がいい?」

「――レジナなのか、やっぱり…」

 糸の切れた操り人形のように、ヨシヤが呻きながらソファに座り込んだ。そして、深く大きな溜息をついた。

「ヨシヤ?大丈夫?私、何かした?」

 絹糸が震えるような、繊細で哀しげなレジなの声だけが、リビングに響いた。

 

 しばらくして、ようやくヨシヤが顔を上げた。

 無理をして笑おうとするが、その顔は不自然に引きつっている。それでも、声だけは明るく努めようと、いつもよりトーンが上がっている。

「悪かったね、レジナ。気にしないで欲しいな」

 ヨシヤの迎い側に座ったレジナが、かぶりを振った。

「気になんか――」

 レジナは胸元で波打つ自分の髪を、うるさそうにかき上げ、頭を軽く振った。どこと無く崩れた、その仕草は普段のレジナからは感じられない妖艶さがあった。

 レジナは自分のカップを手に取ると、ゆっくりと口に含んだ。カップから離れた唇が薄く開き、舌で紅茶を舐めとった。

「――してるさ。人の名前を間違えてくれて…」

 レジナは形の良い唇をシニカルに歪めて、薄笑いを浮かべた。

「俺の名前はレセ。レジナなんかじゃない」

 レジナの清らかな神聖さの換わりに、人を惹きつけて止まない邪悪さを持つレセ。
 完全な人格の転換。

「あんたも懲りない人だね、ヨシヤ。いい加減、忘れてくれてもいいんだけど」

 呆れたように呟くと、もう一度、冷めた紅茶をすすると、眉をしかめた。

「レセ。本当にレセなんだね…」

 熱に浮かされたように、レセを見つめたヨシヤが言う。

「ええ、そうよ。私、レジナ」

 レジナの真似をして、レセが笑う。

「やっぱ、渋いや…」

 呟くとレセは紅茶を新しく淹れるために、立ち上がった。

 湯を沸かすためにキッチンに行く途中で、後ろから来たヨシヤがそれを止めた。

「レセ…」

 愛しそうにそう呼ぶと、レセの躰を後ろから抱きしめたのだ。

「逢いたかった…」

 ヨシヤはレセに髪に口付けを落とし、抱きしめた腕に力を込めた。

「俺は会いたくなかったよ」

 吐き捨てるように言いながら、レセはヨシヤの腕の中から出ようと躰を捩った。

「冷たいんだね。相変わらず、君は」

 甘い口調で、レセの抵抗を無視したヨシヤが笑った。

「久しぶりに逢えたんじゃないか、レセ」

 ヨシヤが甘えるように、レセの項に顔をうずめると、レセの香りをいっぱいに吸い込んだ。そして、舌を伸ばすとレセの耳に舌を這わせ、耳たぶをそっと噛んだ。――レセは舌打ちと共にうるさそうに首を振ると、腕を大きく回しヨシヤの腕を邪険に振りほどいた。

「気持ち悪いな。やめろよ」

 レセはヨシヤに向き直ると、手にしていたカップの中身をヨシヤに投げ掛けた。ヨシヤは避けようともせずに、冷めた紅茶を頭からかぶる。

 量はそれほどではないが、琥珀の雫が髪から滴り落ちる。ヨシヤはスーツからハンカチを取り出すと、紅茶をふき取った。

 レセはその様子を、忌々しそうに唇を噛みながら見ていた。

「相変わらずだね、君は」

 紅茶の沁みたハンカチでさえも、愛しげに丁寧に畳みポケットにしまいこんだヨシヤが、苦笑を浮かべるがそれすらも嬉しげな様子に溢れている。

 その笑みを見たレセは、ヨシヤを睨みつけた。

「そんなに怒らなくてもいいじゃないか、ねぇ、レセ」

 ヨシヤがレセの機嫌を伺うように、猫撫で声を出した。

「言っとくけどね、俺はあんたが嫌いなんだ。そばにいるだけで、虫唾が走るほどにね!」

 それを聞くとヨシヤは哀しげに瞳を伏せると、小さくかぶりを振った。

「どうして――。こんなに、愛してるのに…」

 レセは表情を緩めると、面白そうにヨシヤの様子を見つめた。

「僕が愛しているのは、君だけなのに――」

 ヨシヤはそこまで言うと、瞳を上げ、熱い視線をレセに向けた。

「君だけなんだ、レセ」

「生憎だけど、俺は俺に愛してるなんて言う人間が、世界で一番嫌いなんだよ」

 容赦ない取り付く間すらない、レセの拒絶。

 しかし、ヨシヤは気にする様子も無く、レセに近づいた。そして、両手を伸ばしレセの肩に手を乗せる。

「一緒に暮らそう…」

 レセはその手も無造作に払いのけると、汚らわしいものが触れたかのように、手で肩を払った。

「やだね」

 そしてもう一度、単純で間違いようの無い、拒否の返事を返した。

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