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「ORIGINAL」
Short story

愛しのRへ (2)

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言い忘れましたが、この話はBL風味です。
あくまで風味ですが、苦手な方は回れ右!してください。




(2)

 

「何?そんなに私の顔を見て――」

 ポットに紅茶の葉を入れようとした手を止めて、レジナが言った。

 マスターの応接室には、マスターとレジナ、そしてヨシヤが揃っていた。

「いや、なんでもないんだ」

 あわてたように、ヨシヤは笑った。マスターは二人に気付かれないように、ひそかに溜息をついた。

 ――ヨシヤからは表面の爽やかさと清潔感の裏側から、にじみ出るなにか澱んだものを感じる…。表面が綺麗であればあるほど、それが増していく気がする…――。

「初めの一匙はヨシヤのために、次の一匙はマスターのために、三杯めは私のために、――そして、最後の一匙はポットの中の天使のために――」

 レジナは沸かしたポットに、合計4杯の葉を入れると、上からナフキンをかけた。

紅茶の茶葉が開くまで、ゆっくり蒸らす。

 その僅かな間に、沈黙が降りる。

 

 マスターはゆっくりと、その静寂を破った。

「ヨシヤ…。君はいつまで、そうしているつもりなんだ?

 いいかげん、身を固める気にはならないのかね」

「いえ、まだ、考えてませんから…」

 ヨシヤはあいまいな微笑みを浮かべると、頭をふった。

 レジナはそんな二人を小首を傾げたまま、見守っている。

 ヨシヤはちらりと、レジナの横顔に目をやると、眉をひそめた。そして、失望したような溜息を殺しながら、返事を返す。

「まだ、早いですよ。僕には…」

 マスターはヨシヤが言いかけるのを、遮るように言葉を続けた。

「いや、そろそろ考えてもいい頃だろう…」

「お気遣いはありがたいですが――」

「誰か、好きな人でもいるのかね?」

「――、別に、マスターには関係ないでしょう!」

 ヨシヤは憮然としたように声を荒げると、すぐに思い直したように、頭を下げた。

「すみません。つい、むきになりました…」

 二人が言い合うのを止めるかのように、レジナがポットに手を伸ばした。

 あらかじめ温めたカップに、紅茶を注いでいく。琥珀色の湯気と香りが、穏やかにただよい始める。

 

 カップを一人ひとりの前に置いたレジナが、ぽつりと呟いた。

「ねぇ、マスター。どうして、僕をお店に出したの?」

 それを聞いたヨシヤが、はじかれたようにマスターに詰め寄る。

「どういうことだ、マスター!」

 ヨシヤはその端正な顔を引きつらせながら、怒鳴りつける。

「どうして、レジナを店に出したりした!?マスター!」

 そのまま、マスターの襟を掴みあげた。マスターは息苦しそうに、顔をしかめながらも、落ち着いた声を出した。

「ただ、出てもらっただけだ。何も、客につかせたわけでもない…。

 レジナの退屈しのぎになればと、思っただけだ…」 

「あんたは、レジナを店に出すために、置いていたのか!?」

 マスターは首を横に振りながら、ヨシヤの手に軽く自分の手を掛けた。

「あんたを、見損なったよ!」

 それでも収まらないヨシヤはマスターの顔を、拳でなぐりつけた。鈍い音のあとで、右手をふりながらヨシヤがマスターから離れる。ソファに叩きつけられたマスターは、口元に手をやり切れた唇の血を拭うと立ち上がった。

「――マスター、大丈夫?」

 レジナが、おずおずと声をかける。マスターはレジナに向かって微笑もうとしたが、傷が痛んだらしく、それは引きつった笑いになった。

「――ヨシヤ、そろそろ見切りをつけたらどうだ…」

 口元に手をやりながら、マスターは呻くように言った。レジナが駆け出して、濡らしたタオルをマスターに差し出した。

「ごめんなさい。私が悪いの…。だから、ヨシヤを怒らないで…」

 マスターはそれを手に取ると、口元にあてながら鏡に向かうと、口元の傷が目立たないことを確認した。乱れた髪を、くしで整えタオルをレジナに渡した。

 レジナは泣き出しそうな顔で、それを受け取ると、震える唇を開こうとした。

「いいのさ、レジナ。大丈夫だよ」

 マスターはレジナの髪をそっと撫でて、それを止めると、レジナの額に軽いキスを落として部屋を出て行った。

「私はもう、店に行くよ。すまないね」

 最後の謝罪は、レジナの淹れた紅茶に対してなのだろう。

 

「レジナ――。君はここを出た方がいい」

 ヨシヤはマスターに手を上げたことなど、無かったかのように静かに言った。

 紅茶を口に運ぶと、満足そうに微笑を浮かべる。

 さっきの激昂が、嘘のような落ち着いた気品に満ちた姿は、いつもの彼のものだ。

 レジナも、カップを口につけながら、

「ここを出て、どうするの?」

 不思議そうに、ヨシヤに尋ねる。

「僕のところにくればいい」

 ヨシヤは即答した。

「ヨシヤのところ?」

 レジナが小首を傾げると、ヨシヤははずんだ声を出した。

「僕のところだって、ここと変わらないくらいの広さはあるんだ。

 君の部屋だって、すぐに用意する。内装もレジナの好きなように、してあげるから!

 だから、僕のところにおいで、レジナ!」

 レジナはそれには答えず、マスターの分のカップを手に持つと立ち上がった。

 その肩に手をかけたヨシヤは、後ろからレジナの躰を抱き寄せた。

「一緒に暮らそう…。レジナ…」

 

 レジナがうつむくと、その細い肩が、小刻みに震えだした。ヨシヤがその手を緩めると、レジナはヨシヤの腕の中から抜け出した。

「ごめん、レジナ…。急に抱きしめたりして、驚いたんだね…」

 ヨシヤが取り繕うように、ことさら優しい声をかけた。

 しかしレジナは、そのまま動かない――。

「レジナ…。僕は………」

 ヨシヤの声も聞こえないように、レジナは固まっていた。

 どれくらいの時間が経ったのか、やがてレジナはゆっくりとヨシヤに振り返った。

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