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「鬼畜眼鏡」
お伽話シリーズ

樹氷愛唄 (11)

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ストレスがかかる毎日ですが、お話を書くことは私にとって必要な事なんだと思いました。
書くことがなければ、自分自身が潰れていたかもしれません。

時間的には厳しいのですが、少しずつ書いていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

このお話は『雪女』が基になっているのですが、『雪女』って、結末はアンハッピーだった気がするのです…。
この話はラストがまだ決まっていません。どうするか思案中です。



(11)

 

「御堂…」

 克哉は声を出し、外にいる筈の御堂を呼んだ。湧き水を汲むと言って出て行った御堂だが、それでも遅すぎるように克哉には思えた。

 克哉はゆっくりと立ち上がると、少しふらつく足どりで家を出た。

 外は月明かりで明るく、元より夜目の効く克哉は灯を持たずとも歩くことが出来た。

 いつもよりも歩みに時間はかかったが、自分の村の中のこと、御堂の姿はすぐに見つけることができた。

「佐伯…」

 克哉の姿を見つけた御堂は、一瞬だけ驚いたように紫紺の瞳を見開いたが、すぐに克哉はここに来た理由に思い当ったのだろう。ばつが悪そうに、視線を僅かに逸らせた。

「帰ろう――」

 克哉の促しに、御堂は克哉の傍らに歩み寄り躯に手を回す。そして克哉に己の肩を貸すような形で、ゆっくりと足を進めた。

 

 家に戻ると、御堂は甲斐甲斐しく克哉の世話を行った。克哉を座らせると、そのままだった夜具を整え、湯を沸かし簡単な汁物を作ると椀によそい、克哉に手渡す。

「これは…」

 椀の中には以前に山で見つけた、しおでが入っていた。そしてそれは、御堂の帰りが遅かった理由だった。

 体力を消耗し、食欲も湧かない克哉を案じた御堂が、風味が良く美味なしおでならと、山に入って探してきたのだろう。

「それを飲んで、横になれ。せっかく熱が下がりかけたのに、また上がってしまったら、元も子もないじゃないか」

 椀を手にしたまま、動かない克哉を見て、自分の行動を悟ったのだと察したらしく、口早に克哉を急かすと外に出ようと身を翻した。

 けれど、克哉はそれより一瞬早く、御堂の手首を捉えた。その肌が冷やかに感じるのは、克哉の躯が熱を孕んでいるせいだろう。

 その熱は蛇毒のもたらすものなのか、別の原因があるのか――。克哉には判断がつかなかった。ただ、御堂を自分の元から離したくない。その思いだけが、克哉を動かしていた。

「手を放せ、佐伯。汁が零れるだろう…」

 御堂は克哉に捉えられた姿勢のまま、言い聞かせるような声音を出す。けれど克哉はそれも気に入らなかった。

 何故、自分を見ない――。御堂と視線が合わない、御堂の貌を見れない、それだけでも今の克哉には我慢がならなかった。

 その気持ちそのままの荒々しさで、椀を傍らに置き、もう一方の手に力を込めた。

 病み上がりである事を苦慮したのだろうか、御堂は逆らわずその身を克哉に委ねた。けれど、その顔は克哉の方を向かないままだ。

 克哉は御堂が逆らわない事を逆手に取り、その躯を腕の中に閉じ込めると、強引に頤を掴むとその顔を自分の方に向けさせた。

 紫紺の瞳は一瞬だけ剣呑な光を帯びたが、その色はすぐに困惑に変わるのがよく見えた。

 御堂が何か言おうと開きかけた唇に、克哉は自分のそれを押しあてた。

「…っ…」

 御堂が克哉の胸を叩き、強引な口づけに抗議するも、それを無視してその躯をきつく抱き込み、克哉は舌を捻じ込んだ。

 御堂のひんやりとした口腔は、その肌と同じように滑らかだった。その感触に誘われるまま、克哉は御堂の中を舌で暴き蹂躪していく。

 いつの間にか、御堂の手の動きが克哉に縋るように変わった頃、克哉はその口づけを解いた。

 互いの唾液で滑り色付いた唇の間には、銀色を糸がつっとかかって切れた――。

 それは克哉の中で、何かが切れるのと同時だった。

 今まで感じた事のない衝動に動かされるまま、克哉は御堂を床に押し倒した。

 

 欲しい、欲しい、ホシイ――。それだけしか考えられず、克哉は御堂の上に伸し掛かると、襟に手をかけ大きく左右に肌蹴させた。

 咲き誇る華の馥郁たる蜜に誘われる蝶のように、上質の絹にも勝る御堂の肌に顔を寄せる。

 肌蹴られた鎖骨の下を吸い上げると、薄紅の花が咲く。

 克哉はそれが御堂が自分のものになった証のような気がして、少し下へ唇を滑らせるともう一度、今度はきつめに吸った。

 さっきよりも色濃い印が、くっきりと白い肌に浮かび上がる。

 克哉は身を少しだけ起こすと、御堂の肌に咲かせた二つの花を眺めた。

 御堂の手を掴んだ時にあった不愉快さは消え、代わりに克哉の中にあるのは御堂に触れている充足感と、大きくなる欲望だった。

 

 克哉は女だけではなく、男も抱いた経験があった。都にはそういった店が数多くあるし、容姿の整った克哉は向うから声をかけてくる事が多かった。一人暮らしで十分な稼ぎもある克哉にとり、そんな店に行くことは負担では無い。

 何度か店を訪れれば、自然に馴染みの相手が出来るものだが、克哉はそれを作ろうとはしなかった。どんな相手でも数回で終わらせていた。

 だが店で一番と呼ばれる遊女や陰間を抱いた時でも、これほどまでに相手を欲した事は無い。

 克哉は無意識に唇を舌で湿らせると、御堂の衣に手をかけた。もちろんそれは、御堂に自分の劣情をぶつけんが為だった。

「よせ、佐伯」

 克哉の動きを止めたのは、静かな御堂の一言だった。その声音は、おおよそ男に組み敷かれている状況にはそぐわず、落ち着いたいつも通りのものだった。

「君はまだ、熱が下がりきっていないのだろう。巫山戯ていないで、早く横になりたまえ」

 御堂は薄く笑みを浮かべて、克哉を見上げていた。御堂はそうして、克哉の下から抜け出すと、何事もなかったかのように自分の衣を整える。

 その一連の流れるような所作を視界に入れながら、克哉は動かなかった。否、動く事が出来なかった。

 御堂が声を発した時、克哉は御堂の紫紺の瞳の中に今までにない光を見たのだ。

それは吹きすさぶ雪の中に衣一枚で放りだされたかのような、冷徹なものだった。

 人が立ち入る事を決して許さない冬山の厳しさを、御堂は纏っていた。

触れればそれは容赦なく人を切り裂く鋭さと、蘇る記憶に克哉は息すらも止めた。

 

 ――こんな瞳を俺は前にも見たことがある…――。

 遠い記憶の彼方で、こんな眼差しを確かに見た。それはいつの事だったか、ずっと昔、まだ幼かった頃だった…。

 俺はそれを見て、綺麗だと思ったんだ…。ずっと見ていたくて、近づいたらその瞳の中に俺の顔が映ったのが見えて、なぜか嬉しかったんだ…。

 あれは確か、冬の山だった――。

 

「もう今夜は、眠れ」

 いつの間にか克哉の躯は横たえられ、布団がかけられていた。そして先程の鋭さは雲散霧消して、普段通り――いつも以上に優しげな御堂が、克哉の額に手を当てた。

 ひんやりとした手の冷たさが、火照った躯に心地が良い。

 その心地良さが眠気と繋がり、克哉は急速な眠りに堕ちて行く。

 自分の瞼が下がり、御堂の貌が見えなくなる…。

 いやだ、まだ見ていたい――、このまま眠ってしまいたい…。

 相反する気持ちが克哉の中で、ぐるぐると廻った。

 

 ――俺は、あんたをずっと前から知ってたんだ…――。

 完全に眠りに堕ちる前に掴んだそれは、曖昧な記憶の底にある、ただ一つの確信だった。

 

 



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