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テイルズオブ  

今宵、月が見えずとも ―Another― 

 ←今宵、月が見えずとも ―Side Tear― Act3 → IF  ~もしもの妄想 眼鏡Ver~
これは、ティア編の裏話です。

ルー君がティアさんの処に駆け込んできた真相がわかります。
ガイとジェイドって書きやすい…。

アニス、ナタリアごめん!!君たちまで書くと、どれくらい長くなるかわかんなかったんだ^^;
アッシュ?ナタリアの横に置いてあげたから、文句はないよね―――。



今宵、月が見えずとも  ――Another――

 

「なあ、旦那。キムラスカのお偉い方々と、親交を深めなくてよかったのかい?」

 律儀に公爵に挨拶をして出て行くティアの姿を見送りながら、ガイはワイングラスを傾けるジェイドに聞いた。

「貴族の権力争いに興味はありませんし、こちらの王族はすべて抑えていますから、気にする必要もないでしょう」

 ジェイドは事も無げに言い切ると、グラスを目の高さに持ち上げ、灯りに透かした。そして、さっきよりも感情の入った声で、

「さすが、公爵家。良いワインですねぇ」

 と感心したようにのたまった。

 いつもと同じ人をくった態度に苦笑しながら、ガイは回りを見渡した。終焉が近い広間は、かなり人が少なくなっている。

「これを飲み終えたら、行きましょうか」

 ガイが声をかける前に、ジェイドが先んじる。興味が無いような振りをしていながら、人の動きはつぶさに観察し判断する。けれどそれも皇帝の懐刀と呼ばれる男の、実力の片鱗にしか過ぎないことをガイは身を持って知っていた。

「それに、私たちがティアの側に行かなければ、十歳児が暴れだしそうでしたからね――」

「まあ、それはそうなんだが…」

 

 二人がティアの元に足を運ぶ前――主催者であるファブレ公爵や国王のインゴベルトに、挨拶をしている時だった。

 今日の主役であるアッシュとルークもそこに居たのだが、ナタリアと並び落ち着いているアッシュと違い、ルークの様子がおかしい。一応の体面は整えているが、長年の付き合いのガイとジェイドには誤魔化せるものではない。

 視線をうろうろとさまよわせ、時々、眉をひそめている。本当なら舌打ちの一つも聞こえそうなくらい、イライラとしている。眉が動くと同時に、握った手が衝動を抑えるように硬く力が篭るのが見て取れた。

 さりげなくルークの視線をたどると、原因がすぐにわかった。ルークが気にして止まない一人の人物――ティアである。

 一人で佇む彼女の姿は、その容姿と頼りなげな風情が相まって、並み居る令嬢たちの中で、群を抜いて際立っている。自分には無頓着な彼女は、まったく気がついていないが、ティアには多くの熱の篭った視線が向けられていた。

 ルークには、それが面白くないのだ。というより、機嫌を損ねて悪化の一途を辿っている。今はまだ、理性で抑えてはいるが、元来の彼は我慢強い方ではないし、気も長いわけではない。

 放任と溺愛で育ったルークも、あの旅で傷つき悩んで大きく変わった。けれどその成長の最大要因である彼女の事になれば、その限りではないようだ。

 それならばそれで、はっきりと意思表示をすればよいのだが、温室育ちの経験の無さと、素直に感情を表せない性格が障害になっている。

 旅の間からルークの気持ちは周囲に――肝心の彼女以外には――丸わかりだったが、大人びた今もそこは変わらないようだ。

 普段は抑えている分、ルークは思いもかけない行動を起す事がある。特にティアに関しては、へタレぶりが嘘のような大胆になる事がある。前例としては、喜びのあまり抱きついたり、瘴気障害で倒れた彼女と共に一夜を過ごすなどがあった。

 そんなルークの事だ。いつ誰かに声をかけられ、誘われるかも知れない状況に耐え切れなくなり、ティアを連れて逃走するのは時間の問題かもしれない。

親友だからこそ、ルークの行動パターンが予想できたガイは、頭を抱えそうになった。

 そんな事をすれば、成人の儀は台無しになるだけでなく、ルークだけでなくティアも矢面に立たされかねない。それを防ぐには、ティアを他の男からガードし、接触を阻止するしかない。

「今日はありがとうな、ガイもジェイドも――」

 儀礼的な挨拶を切り上げて、ティアの所に行こうとするガイは、ルークに声をかけられた。

 ジェイドが眼鏡に手をやりながら、いつもの読めない表情で返した。

「いえいえ、こちらこそ、お招きいただいて光栄です。ファブレ子爵様」

 慇懃無礼な態度も標準仕様の為、ルークは少し嫌な顔をしただけだった。そうしながらも、視線はずっと彼女から外さない。

「私たちは、隅でゆっくりしています。ちょうど、ティアも居ることですし――」

 それを聞いたルークの顔が、一瞬で明るくなる。ジェイドに被せる勢いで、話を切り上げてくる。

「そうか、引き止めて悪かったな」

自分から声をかけておきながら、一刻も早く彼女の所に行けとばかりの様子だ。ここまで態度は素直なのに、どうして言葉に出来ないのか。相変わらずの幼馴染の様子に、ガイは生暖かい眼差しを送るジェイドと一緒に、壁の華というには絢爛な仲間の元へ足を進めた。

 

 ジェイドがワイングラスを空にしたすぐ後に、インゴベルトが退席しようと腰をあげた。ガイとジェイドは視線で頷き合うと、その後を追った。廊下に出る前に、声をかけることが出来た。

「陛下、今宵は、ありがとうございます」

 ジェイドが片膝をついた臣下の礼で、頭を下げる。ガイもそうしながら、国王の横のファブレ公爵に、視線を向けた。公爵が目礼を返すのを確かめると、辺りを窺いながらそっと紙片を手渡す。そしてそのまま、二人の退席を見送った。

 立ち上がりながら、ジェイドを見ると、一連のやりとりを見ていたらしく一つ頷いた。

「さてと、私たちも失礼しましょうか」

「そうだな。でも最後に…」

 ルークに会っておこうと言う前に、そのルークがこちらに来るのが見えた。二人に向かって歩きながらも、視線はその二人には向いていない。

「もう、帰るのか?」

 ルークは心配していますと、書いたような表情だった。一緒にいるはずの彼女の姿が、見えないのが原因だ。ただ、ルークの気持ちも理解できないこともないガイは、すぐにルークが言外に込めた問いに答えてやる。

「ティアなら、前に俺が使ってた部屋に居るよ。ずっとここに居ても、疲れるだけだからな。あそこで休んでるんだ」

 それを聞いたルークの顔が、一瞬で和らぐ。ほっと、肩の力が抜けた音すら聞こえそうだ。しかし、ジェイドの言葉でそれは一変する。

「まあ、一人で居るとは限りませんが…」

「はぁ!?」

 思わせぶりなジェイドの言葉に、ルークは翡翠の瞳を何度か瞬かせると、視線をガイに向けてくる。事情がわからずガイに助けを求めているのだが、そのガイにも、ジェイドの言いたい事が掴めない。

「おい、旦那。どういう事だ?」

 ルークの気持ちの代弁をかねて、ガイが聞いた。すると、ジェイドは「嫌ですねぇ」と笑顔で見せる。

「彼女ほどの女性が、部屋に一人だとわかれば、良からぬ事を考える輩も居るかも知れないでしょう。後を付けていく人間だって、居ないとは限りませんし――」

「いや、それでも、ティアの事だ。貴族の坊ちゃんが、敵うはずがないだろう」

 ガイが言うと、ルークもぶんぶんと音がしそうな勢いで、首を振る。しかしジェイドは、額に手をあてながらワザとらしく溜息をついた。

「わかっていませんね…。彼女の立場を考えれば、そうはいかないと言っているんです。

 今の彼女はマルクト貴族です。ここで騒ぎを起こせば、主催であるファブレ家に迷惑がかかります」

 生真面目な彼女なら、そう考える余地は充分にある。今日はルークの成人の儀だ。彼の立場を、第一に考えてしまうだろう。相手を傷つける事は、避けなければならない。そうなれば、下手な抵抗がしにくくなる。そしていくらティアであっても、ドレスを着ていては逃げるにも動きが制限される。

男が数人で襲い掛かれば、あるいは――。最悪の想像をしてしまったのは、ガイだけでなくルークも同じだったようだ。顔の色が青褪めて、引きつっている。そして、舌打ちが聞こえたと同時に、風が巻き起こった。

「まあ、あくまでも、可能性の話ですけどねぇ」

 ルークは、ジェイドがそうは聞こえないフォローを入れるのも待たず、弾かれたように走り出していた。全力疾走でティアがいる部屋を目指す、ルークの姿が小さくなるのを見送った。

「いやぁ、若いですねぇ」

まったく悪びれた所なくうそぶくジェイドに、ガイは苦笑するしかない。

「そう仕向けたのは、あんただろ…」

「ですが、ティアを虎視眈々と狙う親善大使もどきがいたのは事実ですよ。それにあそこまで言わなければ、ルークは動かないでしょうからね」

 

音素剥離を起こし、未来が望めないあの時とは違う。お互いに想い合っているのは、傍から見れば明らかだ。それなのに、あと一歩が踏み出せない。ずっと二人を見ているからこそ、いい加減、くっつけばいいと思ってしまう。

「そうだな、世界の為に、自分を投げ出そうとした二人なんだ。だから世界に祝福されて、くっついて欲しいと思うのは、俺たちの我侭かもしれないけどな――」

 今回の親書は極秘という訳ではない。けれど渡すタイミングを計ったのは、当事者に知られないようにするためだった。当事者ではないがアッシュとナタリアは、本人達にばらしてしまう可能性があるので排除した。

 マルクトとキムラスカの停戦が締結し、世界は落ち着きを取り戻しつつある。その平和の象徴として、然るべき子息と令嬢の婚姻を提案する、というのが今回の親書の内容だ。

 然るべき――そうは言っても、実際は名指ししているようなものだ。二国間の戦争で家族と故郷を失った悲劇の令嬢と、その令嬢と世界を救った準王族の子息。これほど、お誂え向きの組み合わせはない。

 この話はつまり、ルークとティアを対外的な理由をつけて、結び付けようというお節介極まりないものなのだ。世界が二人を祝福する準備は整えるのは、仲間の仕事だが、あとは当人同士に任せるしかない。

 ジェイドは、ルークの去った方向に目を向けた。その口元には、いつものものではなく、珍しい本物の笑みが浮かんでいるようだ。やり方は賛成しかねるが、ジェイドなりの後押しなのは確かなようだ。

「私は運命や奇跡を信じるロマンティストではありませんが、あの二人を見ていると、世界はこれで、よかったんだと思えるんですよ――」

 

 
                                   FIN

 

 

 

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