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テイルズオブ  

今宵、月が見えずとも ―Side Tear― Act2

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一応、次でティアサイドは終わります。

補足ですが、ここではティアは神託の盾騎士団を辞めてはいますが、教団の仕事はしているので、
エンディングで教団服を着ていたということにしています。ジェイドの階級は、捏造です。
ただ、これくらいの階級かもっと上でもおかしくないはず……。
(アスランとかセシルの方がずっと年下なのに、将軍だったことを考えるとね)

やっと、ルーク登場です。



Act2

 

「そろそろ、宴も終わりのようですし、私たちもそろそろ行きましょうか」

 ジェイドがガイに声をかけ、立ち上がった。二人が帰ろうとしていると思ったティアは、自分も帰ろうと考えた。

「もし差支えがなければ、私もご一緒していいでしょうか?」

 現在、宴が行われているファブレ公爵邸と、国賓として招待されたティア達が宿泊している王宮は庭園を挟んですぐそこだ。歩いても、さして時間はかからないが、一人で帰るより誰かと一緒の方がいい。それに、いつ帰ればよいのか、なかなか言い出しにくいこのような場では、便乗するのが一番だということは身を持って知っていた。

「それは構いませんが、少し時間がかかりますよ」

 ティアは意味がわからず、首をかしげた。その様子を見たガイが、笑いながら説明をしてくれる。

「ピオニー陛下の親書を、渡さなきゃならないんだ。その間、待っててくれるかい?」

 頷きながら、親書を今頃になって渡すのだろうかを考える。普通は、目通りして直に渡すべきものの筈だ。そんな事は、この二人なら百も承知している。なのに、何故だろう。そこには理由が在るはずだ。

 少なくても皇帝の懐刀と名高いジェイドが、そんな事をするわけがない。

「邪魔が居なくなるまで、待っていたんですね」

 ティアが確信のないままそう言うと、ジェイドが一つ頷いた。どうやら、答えは合っていたらしい。

 どうやら宴は終焉に近づいたらしく、広間の客はまばらになっていた。ナタリアの姿も見えない。どうやら、城に戻ったのだろう。宴の最中は、ほとんど話も出来なかったから、城に戻ったら、顔を見せに行こうとティアは思った。けれど、あまり遅くなるなら、明日にした方がいいかもしれない。

「ちょっと時間が掛かるかもしれないから、ティアは俺の部屋で待てばいい。あそこは、そのままのはずだから」

 ガイが、ファブレ家使用人だった時に使っていた部屋の場所はわかっている。ここで待っているよりも、気を使わなくて済みそうだ。ティアは頷くと、立ち上がった。

 ファブレ公爵に一礼をしてから、広間を抜けた。アッシュの姿はなく――おそらくナタリアを送っていったのだろう。ルークは他の貴族と話していて、こちらには気がつかなかったようだった。

 部屋を出る前に振り返ると、ガイとジェイドが顔を見合わせで何かを話しているのが見えた。ここからが、二人にとって本番なのだろう。

 

 本来なら直に渡すべき親書を、終焉まで持っていたのは、それだけ内容が重要かつ極秘だからだ。これだけ盛大なものでは、広間に集まる人間も半端なく多い。そしてその客がすべて味方とは限らない。というより、むしろ逆といったほうがいいだろう。

 マルクトの人間である二人の行動は、注目されていたはずだ。特に国王への挨拶では、どんな会話や親書が出てくるのかと、聞き耳を立てていた者があっても不思議ではない。

 そんな時に親書を出すのは、どうぞご覧くださいと差し出しているようなものだ。こんなに人々が行きかう場では、どさくさに紛れて中身を盗み見ることも、最悪の場合はすり替える事も可能だ。

 だからこそ、その場では差しさわりのない挨拶に留めて、ティアの所に来たのだろう。公務で仕方なく来ていますといった空気を匂わせ、同郷の者で集まって、早く終わるのを待っているように見せかけて。

 その目論見どおり、キムラスカの貴族達は、こちらに興味を失っていたのだ。それならば、帰り際にジェイドとガイが、国王や公爵に接触しても、注意を引くことは少ない。

 ジェイドとガイは、ティアを隠れ蓑に利用したようなものだが、腹は立たない。二人の行動の目的がそれだけではないことをわかっているからだ。一人で佇んでいたティアを、心配してくれたのも確かだろう。

 

 勝手を知るものの強みで、迷うことなく部屋についた。以前、ガイとペールが使っていた部屋は、ガイの言ったとおり調度品もそのままだった。部屋が余っているからなのか、空き部屋として置いてあるようだ。

 ソファに座ると、肩が凝っている気がした。溜息をつくと、結っている髪をほどく。止めていたピンを外すと、長い髪がすべるように落ちる。軽く頭を振るだけで癖のない髪は、セットする前のいつも髪型に戻る。それだけでも、少し楽になった気がした。

「そういえば、髪が伸びていたわよね…」

 ルークの姿を思い出して、また溜息をついた。

 彼が自分の目の前で髪を切ったのは、記憶に深く残っている。そして還って来た彼の髪は、初めに出会ったときのように、長く伸びていた。三年近くの月日が、そうさせたのかもしれない。セレニアの花片が舞う中で見た、たなびく長い髪と落ち着いた声は、彼が大人になったと感じさせた。

 赤い髪は王家の血統を示すため伸ばすべきものらしく、切らずに後ろで一つに束ねられていた。公爵家嫡男として正装に身を包んだ姿は、普段のくだけた様子とは違って、どこから見ても貴族の御曹司に見えた。

 自分のような名目だけの貴族とは違い、その身に流れているのは生粋の貴族の血統なのだと、ティアに実感させるには充分だった。

ルークとはお互いに忙しく会うのは、タタル渓谷に還って来た時以来だった。

 ガイが感動するほど礼儀作法も見事に身につけていたルークを見て、嬉しいというか誇らしい反面、寂しい気持ちは否めない。もう彼は、ティアと一緒に旅をしていたルークではなく、これからはファブレ子爵として生きていくのだろう。

 

 ティアが回想と現在との違いをぼんやりと考えていると、外が騒がしくなった。どうやら、誰かが廊下を走ってくるようだ。慌しい物音に視線をドアに向けると、バンという大きな音とともに、思い切り勢い良くドアが開いた。

「――…ティッ…ア!」

 息を切らせて駆け込んできたのは、ルークだった。よほど急いだらしく、途切れながら一言しゃべると、後は声が出ないようだ。額に汗をにじませ、大きく肩を揺らして乱れた呼吸をしている。

「一体、どうしたの?」

 その勢いにつられるように、ティアが立ち上がり聞くが、ルークはそれには答えず、ぐっと距離を詰めてくる。そしてすばやく部屋中を見渡した後、真剣な表情でティアを見つめる。

「ティア、一人か!?」

 肩をつかまれそうな勢いで聞かれ、反射的にティアが頷くと、ルークは力が抜けたようにその場にへたり込みそうになった。

 ティアはとりあえず、ルークをソファに座らせた。自分に急用なのかと思い、ルークの呼吸が落ち着いてきたのを見て尋ねた。

「ガイとジェイドがさ、ティアがここにいるって――」

 それはなぜここに来たのかの答えにはなっているが、ティアの質問の答えにはなっていない。けれど、ここで間違いを正すより、用件を聞く方が先だ。走ってきてくれたルークの労力を考え、なるべくきつい言い方にならないように気をつけながら、ティアはもう一度くりかえして聞いた。

「私に何か用なの?」

 ルークは一瞬、虚をつかれたように固まった。

「――えっと……。あの…、ジェイドたち、まだ時間が掛かりそうだったからさ――」

 なぜか、つっかえつっかえのルークに、ただそれを伝えるために、そこまで急いだのだろうかと疑問に思ったが、すぐに一人で待っている自分の為なのだと考え直す。自分を顧みず他人の事ばかり考えて行動するのは、変わっていないらしい。

「ありがとう。わざわざ、伝えに来てくれて」

 ルークの一生懸命さが嬉しく、笑顔で礼を言うと、ルークが弾かれたようにソファから立ち上がった。

「城まで、送ってくよ」

 そのまま開いたままのドアに向かおうとするのを、ティアは引き止めた。

「一人で、大丈夫よ。心配しないで」

 ルークの好意は嬉しいが、自分は元軍属の人間だ。自分一人くらい、どうにでもなる自信があった。力では敵わなくとも、いざとなれば譜歌で眠らせてしまえばいい。

 自分の為に、主催者として疲れているだろう彼に、余計な手間をかけさせたくは無かった。

「そんな訳にはいかないだろ。お前は――」

 ティアの言葉が気に入らなかったのだろう、ルークはティアに背を向けたまま、怒った口調で言った後、途中で言葉を止めた。

 その様子に、何か言いにくい事でもあるのかと考えたティアは、思い当る。

 今のティアの立場は、ファブレ公爵家に招待されているマルクト貴族だ。幾度となく戦争をしてきた、いわば相手国の人間だ。その国の貴族が、万が一にでもキムラスカで襲われるなどすれば、ファブレ家のメンツは丸つぶれになる。下手をすれば、国際問題になりかねない。

 ルークの立場がわかったティアは、その申し出を受けることにした。もちろん、彼と少しの間でも話したかったというのも、理由としては大きい。

「――ありがとう、ルーク。お願いしてもよいかしら」

 ルークは振り返ると、あの頃のような笑顔で大きく頷き、ティアに向かって左手を差し出した。

 

 ルークの後について屋敷を出ると、外に居た白光騎士団の兵士が、ルークに向かい敬礼をする。それを軽く手を挙げ制する姿も、様になっている。彼はこうして、自然に人に命じることが出来るのだと、改めてティアは知らされた気がした。

 確かにあの旅の中でも、命令することはあったが、それは子どもの我侭のようなもので、声を張り上げて自分の意見を通そうとしている時がほとんどだった。こんな風に、さりげなく、従わせるようなものではなかった。

 けれどそれは本来、彼が持って生まれた資質なのかもしれない。だからこそ、あんなにバラバラだったパーティーメンバーも結束し、今ではかけがえの無い仲間となったのだろう。陽だまりのような彼の光は、今度はこの国を照らしていくのだろうか。

 ファブレ邸と城を結ぶ中庭に足を進めながら、ティアは少し前を歩くルークの姿を見つめた。あの頃は幾度と無く見ていた背中が、遠く見えた。少し背も伸びたのかも知れない。

 

 

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