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テイルズオブ  

今宵、月が見えずとも ―Side Luke―

 ←今年の初夢はなぜかテイルズの夢でした →今宵、月が見えずとも ―Side Tear― Act1
 アビスでは、ルクティアが大好きです。
不器用で意地っ張り同士の駆け引きの無い、ピュアな感じがたまりません。
特に最後のティアの告白のシーンは、テイルズシリーズ屈指の名場面だと思っています。
声にならない想いを、唇の動きだけで告げる演出は、切なくて一途な二人らしいと思います。

このネタはきっとどなたかがもっと、良いお話を書いているだろうと思いながらも、書きたくて書いて
しまいました。

はじめはルークサイドからです。
ティアサイドに続きます。



今宵、月が見えずとも  ――Side Luke――

 

 それはいつの事だったか、泊まった宿の部屋に大きなバルコニーがあった。屋敷にいた頃には、何の感慨もないものだったが、路銀も限られた旅の最中には、それはつかの間の贅沢だった。

「おい、ガイ来てみろよ。月がすげーでかいぜ」

 はしゃいだルークは荷物を置くのもそこそこに、バルコニーに飛び出した。声をかけられたガイは兎も角、ジェイドまでも出てくる。

 世界を守るため戦闘に明け暮れる非日常から、少しだけ普通の生活に戻れた穏やかさを感じているのは、ルークだけではないようだ。

「おいおい、身を乗り出しすぎて落っこちるなよ――」

 一応は保護者的に発言しているが、ガイも同じように夜空を見上げる。

 そこには、雲ひとつ無い夜空に月がくっきりと浮かんでいた。欠けたところなど全く無い、完全な満月だ。

 ジェイドもいつもの本心の読めない微笑を浮かべると、月を見上げる。ただ、一言多いのはいつも通りだ。

「落ちるだけならまだしも、月を見てメタモルフォーゼなんて、やめてくださいね。今夜は満月ですから」

「だぁ~っ、俺は狼男じゃねーつーのっ!」

 からかわれて、ルークがむきになるのを、眼鏡のブリッジを上げながらあっさりとかわす。

「ああ、失礼。狼に成れるほど、甲斐性がありませんでしたね」
「――ッ!」

「まあまあ、そう拗ねるなよ」

 子どもっぽく、頬を膨らましているルークを宥めながら、ガイも思わずと言ったように声を上げた。

「それにしても、見事な満月だなぁ…」

 そんな言葉が出るほど、今夜の月は美しかった。

 ガイの言葉に我が意を得て、ルークの機嫌が良くなった。

「そうだろ。つうか、俺さ月なんてちゃんと見た事なかったんだよな。屋敷に居たときは、空を見るくらいしか、自由に出来なかってのにさ――」

 ガイはルークの言葉に、何と言うべきか考えるように口元に手をあてた。身の安全という体のいい言葉で、幽閉されていた時期を知っていた。それだけに、どう言えば良いのか言葉に思いあぐねているのだろう。

 普段ならすぐに返ってくるガイの返事が無いのを、気に留めた様子も無くルークは静かに言葉を重ねる。

「本当に月が綺麗だな…」

 それはどちらかといえば、子どもっぽいルークには似つかわしくない、落ち着いた声音だった。被験者(オリジナル)であるアッシュの感情を抑えたような低音とも違う、聞きなれた彼の声でありながら、違う響きを持っていた。

 いつの間にか、彼はそんな風に静かに語れるようになっていたのだ。我侭放題で苦労知らずのお坊ちゃんだったルークは、この旅の間で確実に成長を遂げていた。

「今夜の月が綺麗なことは事実ですが、あなたの場合、無闇の言うのは感心しませんねぇ」

 思わせぶりなジェイドの言葉に、ルークは翡翠の瞳を何度か瞬かせると、視線をガイに向けてくる。ジェイドの言葉の意味がわからず、助けを求めて来ているのだ。

 ――確かに、覚えておいても良いのかもしれない――

 ガイは時折だが大人の貌を見せ始めた幼馴染を見て、そう思った。これから先、彼の持つ地位や家柄と彼自身の容姿を考えてみても、注意を促しておいても良いだろう。

 彼を狙うアニスのような者が――彼女の場合は冗談交じりではあるが――現れないとも限らない。

「あのな、『月が綺麗ですね』って言葉は、『愛しています』と同じ意味合いで使われる事があるんだよ」

「良く、ご存知で――」

 ガイの解説に、ジェイドが言いかけて、納得したように小さく頷いた。

「ああ、その昔、ホドで使われていた表現でしたね」

「まあな、もう知ってる人間も殆どいない、昔の話なんだけどな――」

 自嘲するようなガイの言葉を打ち消して、ルークが叫んだ。

「ちょ、ちょ、ちょっと待てよ!俺はそんなつもり、ぜっんぜん無ぇからっ!!」

 顔を真っ赤にして肩で息をつくルークは、さっきまでの落ち着きなど欠片も無い。その、いつも通りの様子に苦笑しながらも、ガイはルークを嗜める。

「おまえがそんな意味で言ったんじゃないってのは、充分わかってる。だから、落ち着けよ、ルーク」

 肩に手を置いて顔を見ると、焦った表情の代わりに、からわかれた不機嫌さが漂っている。

「ただ、全く知らないって訳じゃない。夢見がちな貴族の令嬢の中には、真に受けるのも居るかも知れないって事さ」

「たとえば、ナタリアとか…?」

 思わずといった風にルークが呟いたのは、仲間内ではおそらく最も夢見がちな王女の名前だった。確かに、彼女ならその言葉を知っていて、それを本気にする可能性がある。しかしそれは、仲間内ではという話である。妙にシビアな処があるアニスと、おおよそ恋愛など浮かれた事には無縁のティアが、規格外とも言えるのだが――。

「まあ、そう言うこった。いらん誤解は招かない方がいいだろう」

「…うん、わかった…」

 少女趣味のナタリアに散々振り回された記憶があるルークは、神妙な表情で頷いた――。

 

「どうしたの?」

 過去のそんな会話を思い出していたルークは、心配そうなティアの声に意識を戻した。

「いや、ちょっとな…」

 曖昧に誤魔化しながら、ルークは一つ伸びをした。大きく腕を挙げ、深呼吸をする。

 あの時ガイは勿論、あのジェイドでさえ、こんな事を予測した訳では無かった筈だ。

その時には、ルークの音素剥離は起きていなかったのだから。それは、他愛も無い遣り取りに過ぎなかった。

 

 ノエルに連れられて乗り込んだアルビオールの機体の上、今はティアと二人きり――。

 

 その操縦席では、主の元へ行こうとするミュウとノエルの攻防戦が繰り広げられているのだったが、幸いにしてここまでは伝わらない。

 

 目を上げるとエルドランド――かつてホドと呼ばれていた土地のレプリカ――、ルークの師でありティアの実の兄であるヴァンの居る、最終決戦の場所が見えた。

 しかし夜の闇の中、そこは静かに宙に佇み、一枚の風景画のように幻想的な影を落としていた。そして、その傍らには光り輝く月が一際、その幽玄さを際立たせている。

 

「あのさ――」

 ルークは両手を躯の脇に降ろすと、腰を落とし両足を投げ出すように座った。伸ばしたつま先を左右に揺らしながら、夜空を見上げる。

 そこには、いつか見たような完全な満月が浮かんでいた。いや、あの時よりも綺麗に見えるのは、ルークの主観かも知れない。

 もう、自分には時間がない――。そうわかってから、彼の世界は大きく変わった。自分の存在よりも、大きなものが出来た。

 初めは、無愛想でいけ好かない少女だと思っていた。けれど彼女は、どうしようもない自分を見ていてくれると約束してくれた。そして今も、残された時間が少ないことを知っても、そばに居てくれる。

 彼女の存在が自分にとって、どれほど心強いかどれだけ有難いか、そしてどんなに大切か。上手く表現できる言葉は、きっと、あのジェイドでも見つからないのではないかと、ルークは思った。

 その彼女は中途半端に止まった自分の声に、律儀に耳を傾け続けている。続きを急かそうとしないのは、この静かさがそうさせているだけだとは、思いたくは無かった。

「あのさ――」

 もう一度繰り返すと、今度は小さく続きを促す声がした。

「ルーク、何?」

 そう言いながら、ティアは長い亜麻色の髪をそっとかき上げる。すると、普段は隠されている深い蒼の瞳が二つとも現われ、整った貌が顕になる。そんな一瞬にさえ、どきりと心が弾むのを感じて、どれだけ彼女に惹かれているかを思い知る。

 

 けれどそれを、彼女に伝えることはしないし、出来なかった。彼女を縛り付ける言葉を、消えていく運命の自分が残せる訳が無い。

 一見わかりにくいが本当は、人一倍、心優しい少女に、これ以上の重荷を負わせる訳にはいかない。そうでなくとも、彼女はもう充分過ぎるほどの、重い覚悟と運命を背負っているのだから――。

 

今はもう自分の生きてきた証ともいえる日記にすら書くことの無い想いを、今宵の月に託して微笑った。

「なあ、ティア。月が綺麗だな――」

 

 

 

                                   FIN


 

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